この特集で最後に取り上げる厄介な存在は「本当に効果が出ているのか」という、改革中に生まれる不安だ。改革そのものにとどめを刺しかねないので、この不安は可視化で払しょくしよう。

 最後に「働き方改革を始めてみたはいいが、その後、フェードアウトしてしまう」といった、働き方改革そのものが頓挫しかねない厄介な存在を取り上げる。それは、働き方改革を進める企業の推進担当者などから出てくる「業務の棚卸しや残業削減、テレワークとさまざまな働き方改革の施策を講じてきた。しかしその効果が見えない」という不安だ。

 働き方改革のコンサルティングをしている筆者は、現場での支援時、この言葉が出てくると危機感を抱く。適切な対処をしなければ、推進担当者の不安は増して、改革の成果が見えず、働き方改革自体が次第にフェードアウトしてしまう恐れがあるからだ。

 そういった不安がもとでの働き方改革の頓挫を避けるために、ぜひ人事関連のデータを収集して、働き方改革の施策によってどれだけの成果が出ているのかをモニタリングする仕組みを作っておきたい。

成果確認の基本は人事関連データの収集から

 収集する人事関連データの基本は、社員の就業管理データや、年休取得のデータだ。就業管理データには残業時間が含まれているので、「業務の棚卸しをしてムダとりワーキングをしたあと、残業時間は減っているか」といったことが確認できる。

 年休取得データについては、テレワークを含めて生産性向上策を講じたあと、前後での変化を見るとよい。生産性が高まって効率よい働き方を社員ができるようになっていれば、年休の取得数は増加傾向に転じるからだ。

 収集しておくとよいお勧めのデータはもう一つある。それは社員が使うPCの操作ログだ。就業管理データよりも細かく社員の作業状況の変化がつかめるからだ。

 PCの操作ログは、専用のエージェントソフトをインストールして一元管理できるようなシステム製品が出回っているので、それを使って収集する。これを使うと、社員が業務時間中、どのようなファイルを使っているのかが、ファイルを操作していた時間とともに把握できる。

PCの操作ログを可視化するツールの例
(出所:日立ソリューションズ)
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 これにより、業務の棚卸しをしたあとで、PC作業の内容が変わっているか、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入したあと、定型的なPC作業は減っているかどうかなど、働き方改革の施策による効果がより細かく把握できる。データを部署ごとにまとめておくと、部署ごとに働き方改革の成果の傾向をとらえることが可能だ。

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