「理想は社内システムであっても毎日、何らかの機能をリリースしてカイゼンしていくことだ」。東急ハンズの長谷川 秀樹 執行役員オムニチャネル推進部長はこう強調する。

 現在、東急ハンズは毎日まではいかないものの、早ければ週単位で既存のシステムに新機能を追加したり、ユーザーからの修正依頼に対応したりしている。いわゆる既存システムの保守を、週次で実行しているのだ。

 これを実現するのが、同社の2つの取り組みである。1つはシステム単位での担当者の配置だ。通常、稼働後のシステムに対してはシステムごとではなく、インフラ運用やアプリケーション保守など、システムのレイヤーごとに担当者が配置されるケースが多い。

 これに対し、東急ハンズのシステム子会社であるハンズラボでは、MD(マーチャンダイジング)、CRM(顧客関係管理)といったシステムごとに担当者を置く。そして担当者は、アプリケーションの修正、新機能の開発、そしてインフラ運用までを担う。

東急ハンズの保守運用体制
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 もう1つの取り組みは内製化を実現していることだ。内製化をすることで、発注作業のような社外とのやり取りに時間が取られなくなった。加えて「現場に近く、利用者の話を聞きやすい。システムに対する反応がすぐに分かり、少しでも早くカイゼンしたいとのモチベーションにつながる」とハンズラボの山﨑直行イノベーショングループ マネージャー チーフエンジニアはメリットを話す。

社内システムを完全クラウド化

 東急ハンズが、システムごとに担当者を決めたり、内製化を進めたりできるのは、同社が2017年秋に、社内システムを完全に、Amazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウドに移行したからだ。

アプリケーション保守からインフラ運用まで同じエンジニアが担うメリット
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 「当社は2012年から物理的なサーバーを購入していない。パブリッククラウドへの移行が完了したことで、インフラをコードで管理できるようになり、アプリケーションの開発を担当していたITエンジニアが、インフラも管理できるようになった」と長谷川執行役員は話す。

 東急ハンズはさらにシステムの成長を促すため、MDシステムの担当チームでは2017年の半ばからアジャイル開発の手法の1つであるスクラムの適用を始めた。長谷川執行役員は「保守の理想はリリース頻度が早いだけでなく、システム側から、『こんな便利な機能を作った』と提案すること」と話す。

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