40代IT技術者はさまざまな経験を蓄積している。若手時代に仕事や研修を通じて学んだ知識も豊富だ。過去の貯金だけでも、目の前の仕事はこなせる。そのため、挑戦への姿勢を失ってしまう技術者も多い。しかし、デジタルビジネスを担う技術者になったりするには、挑戦的な仕事への姿勢が欠かせない。

 とはいえ、挑戦を大げさに考える必要はない。小さな挑戦を繰り返していると、結果として生き残りに有利なポジションを獲得できるものだ。挫折をバネに挑戦した2人の40代技術者の実体験から、挑戦を継続する仕事への姿勢を学ぼう。

社内公募で新しい仕事に挑戦

 TISの梅谷 麗戦略技術センター 主任は、技術者としてのキャリアが途絶えた経験を持つ。新卒で日本タイムシェア(現TIS)に入社した同氏は、IT技術者を天職と感じた。「出世は速い方だったし、IT技術者の仕事は向いているという実感があった」(同)。

社内で新しい仕事にチャレンジ
第2子出産を機に、家庭と仕事の両立も狙い研究開発部門に社内公募で異動した
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 32歳のとき、出産で状況が変わった。「産休後に時短勤務で復職したが、リーダーとして最前線で仕事をする働き方ではなくなった」(同)。2011年には企業合併に伴い異動となり、技術職から外れてバックオフィス業務担当になった。「流されるままでいたら技術者ではなくなってしまった」(同)。

 ここから梅谷主任の挑戦が始まる。「一度技術者から外れると復帰は難しいが、あきらめずに戻る方法を模索していた」(同)。2014年春、セキュリティ人材の不足から社内でペネトレーションテスト(侵入テスト)を担当できる人材を育成する研修が開催された。「技術者に復帰するチャンスだと考え、これに応募して社内資格を取得した」(同)。

 社内資格で能力を証明して、インフラエンジニアとして38歳で技術者に復帰した。仕事への満足感も高く、着実に成果を出していった。

 ここで再び転機が訪れる。2016年に第二子を妊娠したのだ。数年は時短勤務をすることになる。「突発対応があるインフラエンジニアだと、補助的な仕事しかできなくなると焦った。家庭が最優先だが、仕事もあきらめたくなかった」(同)。

 そこで梅谷主任は社内公募に応募した。研究開発部門である戦略技術センターへの異動だ。興味があったうえ、在宅勤務に積極的で子育てと両立したキャリアアップが可能と考えたからだ。「研究関連のコンソーシアム運営を求めていた。過去の経験を振り返ると、開発現場でのリーダー経験、インフラエンジニアで得た技術知識、バックオフィス業務で担当したチームビルディング活動の経験が役立つという手応えがあった」(同)。公募での採用が決まり、現在はネットワーク関連の研究の事業化を担当している。

 さらにセキュリティの研究に挑戦しようとしている。現在はそれに向けたインプットとして、時間を見つけて専門書を読み、家族の協力を得て月に1回のペースで勉強会にも参加している。

 梅谷主任の挑戦は、巨大なプロジェクトを立ち上げるような大きなものではない。着実な小さな挑戦がキャリアで切り拓いている。

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