「40代のIT技術者は得意な専門分野を持ち、それを軸にほかの分野のスキルも身に付けている。年代別に見て、総合的な能力は最も高い」。ネットワンシステムズで人事部門を統括する荒井 透取締役 常務執行役員 経営企画本部長は断言する。40代はスキル、経験が充実して、技術者として最も脂が乗っている。

 部署やプロジェクトの中核として活躍する40代の技術者だが、個人を取り巻く環境は不安定だ。

40代技術者が抱く将来への不安
現在の仕事に熟達している一方、若手とは異なる悩みを抱える
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 年金支給年齢の引き上げや定年延長により、今後も20年以上は仕事を続けないとならない。同世代やすぐ上の世代が多く、出世によるキャリアアップが難しい。スペシャリストとしての生き残りを図るには、次々と出てくる新技術のキャッチアップが求められる。仕事だけでなく、子育てなど家庭との両立もしなければならない。

 自身の将来に一切の不安がない40代技術者はまずいないだろう。

変わる40代IT技術者への期待

 少し前まで、企業が40代技術者に期待する役割は明確だった。「マネジメント(管理)業務を担える人材」だ。会社で長く生き残るには、管理職として出世していくことが唯一最善の策だった。

 ただ、出世コースを歩むのは一握り。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、情報通信業における全正社員に占める管理職(課長以上)の比率は2割に満たない。40代は企業の年齢構成のボリュームゾーン。人数に対して管理職の席数は潤沢ではない。40代で課長に上がれた技術者でも、部長、役員と上がっていけるのはごく少数だ。

 では、管理職になれない技術者は無価値なのか。かつて、そうした技術者がリストラのターゲットにされた時代があった。ただ、最近は会社側も非管理職への扱いを変えつつある。現場でデジタルビジネスを創出する役割を期待するようになっているのだ。具体的には、クラウドやデータ分析、人工知能といった新技術に詳しい「技術のスペシャリスト」や、デザイン思考や事業創出に精通して事業化を推進する「デジタルビジネスのリード役」といった役割である。

企業が40代エンジニアに求める役割
これまで重視されてきた管理職としてのマネジメント業務だけでなく、新たな役割が求め られるようになっている
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 富士通はまさにこうした役割として、2017年5月に「デジタルイノベーター」という新しい職種を定義した。富士通の山本幸史グローバルサービスインテグレーション部門 ビジネスマネジメント本部 人材開発部長は「経験を積んだ40代技術者には、管理職でなくても価値を生み出せる人材がたくさんいる。そうした技術者が自分の力を生かせる場を作ろうとしている」と説明する。

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