無線LANの電波は、人体に影響を及ぼさないように出力が十分低く抑えられている。

 総務省は国際基準をベースに、電波が人体に与える影響の基準となる「電波防護指針」を作成している。この指針では、人体に吸収される電波の量をSAR(比吸収率)として定義し、その最大許容値を定めている。最も厳しい要件が、携帯電話やスマートフォンなどでの通話の際に、側頭部付近の機器から人体へ吸収される電波量である。これを「局所SAR値」と呼ぶ。携帯電話会社は、各端末のSAR値を公表している。

 無線LAN機器は、携帯電話と比較して送信電力が大幅に低く、人体に与える影響が小さい。そのため、SAR値の測定や確認をしなくてもよい。ただし、スマートフォンなどの「携帯電話と無線LANの双方の機能を持つ端末」のSAR値は公表されている。

 実際の調査データもある。VoIPによる音声通話が行える端末に対し、過去に局所SAR値の測定が実施された。この結果、無線LAN製品のSAR値は十分低く、基準を満足していることが確認できた。

●SARの測定装置
画像提供:テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)
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▼電波防護指針
総務省のWebページに掲載されている。URLはhttp://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/protect/。
▼SAR
Specific Absorption Rateの略。ある生体組織が単位時間、単位重量当たりに吸収する電磁波エネルギー。
▼局所SAR値
携帯電話製品のSAR値は各社のWebサイトで確認できる。
▼VoIP
Voice over IPの略。
▼実施された
「人体頭部において使用する無線LAN端末のSAR値測定調査報告書」を参照。同報告書が掲載されているWebページのURLは、http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/seitai/sonota/#4041757。