トヨタだけではない。多くの企業がデジタルマーケティングに取り組む。成果が上がっているのが、デジタルで接客をWebにまで広げ、顧客を呼び込む領域だ。機械学習やIoTといった技術が顧客の気分の変化を捉え、購入を促す。リアルタイムで過去の履歴を分析し、個別のニーズに応えるわけだ。

 顧客の心をつかむには、デジタル活用は待ったなし。危機感に動かされ、いち早く取り組みを強化するのが接客の現場だ。

 「接客は、ITで“拡張”できる」。全国主要都市で商業施設「PARCO」を運営するパルコのWEB/マーケティング部 メディアコミュニケーション部担当 林直孝執行役はこう話す。

 同社が挑むのは、来店前からの接客だ。PARCOのWebサイトや建物、テナントである店舗、顧客の手のひらまでをデジタルで接続。まだ店に来ていない顧客の心をつかみ、来店に導く。

客単価が2倍に上昇

 接客の重要ツールが、スマートフォンアプリ「POCKET PARCO」(図3)。来店前から来店後まで、手のひらの上で顧客に接する。

図3●スマートフォンアプリと店頭を組み合わせたパルコの販促施策
来店前から接客は始まっている
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 最大の特徴は、来店して商品を買った客はもちろん、店に来ていなかったり商品を買っていなかったりする利用者にもポイントを付与することだ。

 POCKET PARCOでは、テナントである店舗によるお薦めの商品などが日々発信される。顧客が気になる情報を「クリップ」すると、その情報がお気に入りとして登録されるほか、「コイン」と呼ぶポイントがたまる。

 来店時には、POCKET PARCOで「チェックイン」することでコインが付与される。商品購入後、店舗への評価を入力すればさらにコインがたまる。従来は基本的に、買い物をした時しかポイントをためられなかった。接客の“拡張”で客単価は2倍ほどになった。

 ポイントを大盤振る舞いするだけではない。「顧客の行動を可視化できた結果、次の手も見えてきた」(林氏)。分かったことの一つが、クリップがその後の来店や購買に影響すること。クリップをしていない顧客に比べ、来店/購買率が1.2倍ほどになる。そこで機械学習を使って顧客ごとに適した情報を表示するなどの取り組みを進める。

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