社会を支えるインフラとしてブロックチェーンを活用するためにさまざまな企業が実証実験に取り組み始めている。銀行、IT企業、通信キャリア、ネットサービス企業などによる取引情報の共有、証券売買、国際募金の管理、本人認証などへの応用事例を見ていこう。

【みずほ銀行】海外証券取引

 みずほ銀行は富士通と共同で、海外クロスボーダー取引情報の共有にブロックチェーンを適用する実証実験を行っている。実証実験は2016年6月から新たなフェーズに入った。取引情報を暗号化した上でブロックチェーンに記載し、暗号鍵を持つ組織のみが情報を閲覧できるようにした。取引に関わる秘密を保護しながら、必要な情報のみを共有できる。

 みずほ銀行の実験は、ブロックチェーン実験の中でも「組織間の情報共有」というシンプルなものである。ブロックチェーンにクロスボーダー証券取引の約定情報を書き込んで、決済業務が円滑に進むようにする(図7)。

図7 みずほ銀行と富士通が試作した、証券クロスボーダー取引における取引データ共有システム
暗号技術で証券取引データの共有範囲をコントロールする
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 クロスボーダー証券取引業務では、海外の証券会社から届く電文の情報量が限定的な上に、「本来は1件にまとめるべき取引が、2件に分かれていた」といった食い違いが発生しやすい。数%の電文に何らかの誤りがあるという。約定情報を共有できれば、誤りや矛盾を見付けるたびに、相手側に問い合わせる必要がなくなるほか、決済プロセスの進行状況を把握しやすくなる。

 こうした情報共有システムを実用化するには、データ形式の策定、安全に使えるブロックチェーンの選定、共有する情報を絞る共通鍵基盤の運用と、越えるべきハードルは多い。「今はブロックチェーンとぶつかり稽古をしながら、特性を見極めている状況」(みずほ銀行の河野氏)。次のステップとして同行の海外拠点と共同運用する形での実験を検討している。

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