※この記事は日経NETWORK 2012年9月号の特集記事です。分解対象の機種の一部は古くなっていますが、今でも役立つ内容だと判断し、掲載しました。

 シャシー型のスイッチは一般的に、多数のポートを収容でき、転送容量もボックス型より大きい。大企業やデータセンターなどのネットワークの中心となるコアスイッチとして使われるケースが多い。

集中型と分散型が同居する

 まずシスコシステムズのシャシー型L3スイッチ「Cisco Catalyst 6500」の内部を見てみよう(写真1-8)。この製品は主に、企業や大学などの構内ネットワーク(キャンパスネットワーク)のコアスイッチ向けに使われる代表的なスイッチだ。

 Catalyst 6500が最初に登場したのは1999年。かなり古い製品シリーズだが、モジュールを入れ替えられるというシャシー型の特性を生かし、現在でも活躍している。

 Catalyst 6500は、ラインカードとスーパーバイザー(Sup)という2種類のモジュールから構成される。ラインカードは、ポートを収容するモジュールである。Supは、ルーティングプロトコルを使ってルーティングテーブルを作成したり、ラインカード同士をつなぐスイッチファブリックとしての役目を果たしたりする。

写真1-8●レイヤー3スイッチ「Cisco Catalyst 6500」の分解写真
シスコシステムズのシャシー型レイヤー3スイッチ。シャシーとモジュールから構成される。通信に関わるモジュールには、ポートを備えるラインカードと、ルーティングなどの処理を受け持つスーパーバイザーの2種類がある。シャシーの写真は第1回の図1-1を参照。
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 新旧のアーキテクチャーが同居しているというのが、Catalyst 6500の特徴である。具体的には、Supで集中的にフォワーディング処理を行う「集中フォワーディング」と、各ラインカードで分散的にフォワーディング処理を行う「分散フォワーディング」の2つである。これらは設定情報(コンフィグ)で切り替えることが可能だ。

 この製品が登場した当初は、前者の集中フォワーディングが使われていた。このため、Supにはスイッチファブリックのほか、フォワーディングエンジンも搭載されている。集中フォワーディングの場合、受信したパケットは各ラインカードのバッファーに格納され、ヘッダー情報だけが「DBus」というバスを通ってSupに送られる。そこで検索処理を実施する。出力ポートなどの結果は「RBus」というバスを経由してラインカードに返される。ラインカードのインタフェースが高速化した今では、このDBusやRBusがボトルネックになるため、基本的には分散フォワーディングを利用することが多いという。

 分散フォワーディングの場合は、各ラインカードに搭載されたフォワーディングエンジンで検索処理を行い、その結果に基づいてパケットが出力側のラインカードに送られる。

▼スイッチファブリック
シャシー型のスイッチやルーターで、複数のラインカード同士を接続するためのモジュール。

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