本連載では、全国の中小企業のみなさんがITを有効活用して、業務課題の解決や生産性向上を図れるようにするためのヒントをお話ししていきます。日ごろ「我が社はITを使いこなせていないが、なぜだろう」「どうして我が社はITに投資しないのだろう」といった疑問を感じている方の参考となり、それがITを活用した生産性向上や収益拡大の一助につながれば幸いです。

 「個人ではスマートフォンやタブレット(以降スマホと記述)でさまざまなサービスを身近に利用できているが、業務では昔からある携帯電話(以降ガラケーと記述。フィーチャーフォンと呼ぶこともある)を使い続けている」という人はまだまだ多いと思います。企業がスマホを導入できないのは、コスト、セキュリティ、運用などの面において乗り越えなくてはならない課題があるからです。今回はこうした課題を乗り越えて、スマホをもっと業務で活用するにはどうしたらよいかを考えてみましょう。

企業のスマホ移行は着々と進んでいく

 前回(第2回)、ペーパーレスに必要な「10種の神器」の話をしました。その真の目的は、自席やオフィスに縛られずに、生産性や売り上げ、サービスの質を向上させることにあります。これを実現するために必要なのは、「どこからでもオフィスにつながるネットワーク環境」や「どこでも使える社員間のコラボレーションを可能にするITツール」を活用して、いつでも、どこでも、誰とでも仕事ができるようにすることです。そのためには、在宅勤務や外出先などで仕事をするテレワークを推進する必要があります。では、スマホとガラケーはそれぞれ、テレワークの実現にどの程度役立つのでしょうか。

 ガラケーは、2000年代半ばくらいから役職者や営業職を中心に外出時の連絡手段として支給されるようになり、のちに社内メールも参照できるツールとして普及しました。当時、ガラケーを導入した企業の多くは「しばらくはこれで十分」と判断したのではないかと思います。仕事で使うガラケーと個人で使うガラケーを別々にする「2台持ち」が主流だったと記憶しています。

 ガラケーではアプリも利用できますが、できることに限りがあります。基本的に電話とメールに特化している端末だと、テレワークで使うには不足面が多いのではないでしょうか。

 スマホは2008~2009年頃から個人に普及し始め、やがて前述した「仕事はガラケー、個人はスマホ」という2台持ちの人が増えてきました。ですから現在、従業員のかなり高い割合がスマホを使いこなせるようになっているはずです。スマホはさまざまな作業をこなせるアプリを利用できて、通信・ネットワーク関連機能も充実しています。テレワークで用いるツールとしては、ガラケーよりも向いています。

 それでも会社がスマホの支給に踏み切れない理由の一つは、コスト増になることです。スマホは通信料と端末代がガラケーに比べ高い場合が多くなります。セキュリティを理由に挙げる企業もあるでしょう。情報漏洩対策などセキュリティ面の運用が、スマホとガラケーでは異なる部分があります。セキュリティ対策が分からないため、スマホの導入を見送る判断をしたのではないかと想定されます。

 それでも企業のスマホ導入は進んでおり、この傾向は今後も続くとみられます。MM総研が2015年末に実施したWebアンケート調査によると、スマホ導入企業の割合は、前年調査の22.4%から今回27.6%へ増加しています。従業員に配布する端末全体(携帯電話・PHS・スマホ)のうちスマホが占める割合を見ると、現在の31%から3年後には半数超の52%になる見通しとしており、法人もスマホが主流となっていくと予想しています※。

※出典は、MM総研(東京・港)のニュースリリース「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査(2015年度版)」。このリリースは、MM総研のWebサイト(https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=36)で見ることができる(2016年8月現在)

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