米国の年末商戦は、消費者の購買行動がデジタルによって変化した結果、年々前倒しされている。今年もサンクスギビングデー(感謝祭=11月第4木曜日)やブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日)、サイバーマンデー(感謝祭翌週の月曜日。ECサイトの売上高が最も高いことで知られる)に、店舗やECサイトの売上高が急上昇するようだ。

 NRF(全米小売業協会)では、2017年のサンクスギビングデーからサイバーマンデーの間に、延べで1億6400万人の消費者が買い物をすると予測している。

 その兆しは以前から見えていたが、2017年のサンクスギビングデーとブラックフライデーは、米国の消費者にとっての年末商戦が、本格的にオンラインにシフトした節目となりそうだ。米東部時間17時現在の速報値では、サンクスギビングデーのオンラインでの売上高が約15億2千万ドル(約1695億円)あったという。これは対前年比16.8%の上昇だ。

 特にモバイルへのシフトは非常に急速に進んでいる。米Leanplum社と米Branding Brand社の調査は、2017年の年末商戦開始前にこんな予想を報じている。「2017年の年末商戦で、モバイルを使って購買する消費者は65%に達し、そのうち35%はモバイルアプリケーション経由での購買になる」――。

 ただし既に、モバイルへのシフトは2017年をピークとし、2018年以降鈍化するのではないかという懸念が急浮上している。FCC(米連邦通信委員会)が現地時間の11月21日、通信会社や携帯電話事業者、そしてインターネット接続企業などに、インターネット上のコンテンツを平等に扱うように求める「ネット中立性」の原則を撤廃する方針を発表したのだ。

 この方針が通れば、通信会社が独自の判断で、高速配信のために追加コストを支払う企業のコンテンツを優先的に配信したり、それ以外の企業のコンテンツにアクセスする際の回線速度を遅くしたりできるようになってしまう。この方針の採否が決まるのは、現地時間の12月14日に予定されている。

 これが現実になると、2018年のサイバーマンデーにも大きなインパクトが及ぶと見られている。この方針によって、特にデータ使用量の制限が常につきまとう「モバイルを中心としたサービス」が大きな影響を受ける公算が高いからだ。

 つまり「ネット中立性」の撤廃によって、今まで以上にデータ使用量制限の影響を受ける消費者が増えると予想される。その結果として、モバイルでの購買行動が鈍る可能性が考えられるのだ。

 さらに通信会社や携帯電話事業者などが(一定のコスト負担などを見返りにして)「特定のECサイトへのアクセスに対する通信速度を早くするサービス」(相対的に表現すれば、その競合サイトへの通信速度が遅くなる)の提供を始めるかもしれない。

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