会計年度を1月開始12月終わりとしている企業が多い米国では、10月も後半に入ってくると、新年度の話が現実味を帯びるようになる。来年の展望や予測が取り上げられるようになるのも、この頃だ。

 こういった展望記事は、毎年同じ企業が同じテーマで発表していることが多い。その中で筆者が特に注目しているのが、米国のIT系人材紹介会社Robert Halfの中でマーケティングやクリエイティブ系の人材に特化するThe Creative Groupが発表する「Salary Guide」である。これは、米国内のデジタルマーケティング人材の転職市場を見据えた業界展望的なレポート。2016年10月中旬にその最新版が、2017年の転職市場に関する展望をまとめた資料として公開された。

 同資料では、デジタルマーケティング業界で2017年も引き続き慢性的な人材不足が続くのではないかと予測している。そのため転職市場は、その状況に比例する形で活発化すると推測し、他社から優秀な人材を引き抜くための諸条件が高騰するという見通しを示している。優秀な人材を他社に引き抜かれないよう、自社につなぎとめるためのカウンターオファーについても同様に高騰すると見ている。

 2017年もデジタルマーケターを取り巻く転職市場は活発化する方向にあるわけだ。その転職市場で特に求められるのは、「ハイブリッド・プロフェッショナル」な人材だと言われている。つまり「複数の専門性」を併せ持つ人材のことだ。

 複数の専門性とは、これまでその職種で求められてきた業務スキルに加えて、それに関連するデジタル領域での高いレベルの専門性という意味。グラフィックデザイナーの場合、本来のグラフィックデザイナーとして求められているスキル(例えば画力など)に加えて、Webデザインやソーシャルメディアに関するスキルを併せ持つことを求められつつある。コピーライターなら、コピーライターとしてのスキルに加えて、SEO(検索エンジン最適化)の知識などを併せ持つことが求められつつある。

 こういったスキルが求められるようになった背景として、「コンテンツマーケティング」が有効な手段として定着してきたからという点が挙げられている。前回の原稿では、米国のB2B企業でコンテンツマーケティングが“軌道に乗っている”状態にあるということについて触れた(参考記事:「『軌道に乗っている』コンテンツマーケティング、さらに成果を高めるための課題とは」)。この結果として、コンテンツマーケティングを推進していくための人材は圧倒的に不足している。

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