「マーケターだけでなく、全社員が変わらなければならない」――。アルテリア・ネットワークスの代表取締役社長 CEO 川上潤氏は、企業文化の変革から始めた全社的な挑戦の意図をこう表現した。企業が自らの内面を破壊し、創り直す過程には、よりどころとなる考え方が不可欠となる。川上氏は、大手通信事業者(メガキャリア)が圧倒的な力を持つ通信業界の中で市場から見た「会社としての佇まい」を変えるために同社が取った戦略を振り返った。

アルテリア・ネットワークスの代表取締役社長CEO 川上潤氏
(撮影:松本 敏明)
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DNAレベルでの組織変革に着手

 アルテリア・ネットワークス(アルテリア)は、自社で通信ネットワーク設備を所有し、サービスを提供している通信事業者の一社である。規模の点でも知名度でもNTTやKDDI、ソフトバンクといったメガキャリアに大きく劣る分、市場で評価されるには、独自のポジショニングを戦略的に打ち立てなくてはならない。

 川上氏は「『BtoB』『有線』『大都市』と、市場セグメントを絞り込むことで、顧客から見た特徴を明確にしている」と話す。メガキャリアと同じサービスを提供するのではなく、アルテリアができるサービスを明確にし、顧客にとって「オンリーワン」の会社になることを企業戦略としている。

 「ポジショニングが明確なだけでは不十分。同時にマーケティングをコアコンピタンス(競合が真似できない核となる能力)にしていくこともやらねばならない」と川上氏は続ける。

 しかし、長年にわたり全ての顧客に等しく同じサービスを提供する「ユニバーサルサービス」を重視してきた通信事業者は、顧客をセグメンテーションして、成果を出すという発想にあまりなじみがない。顧客をセグメンテーションしたうえで、差異化のポイントとして「お客様に感じていただける価値」を高めようとしたのだ。

 川上氏は、マーケティングを「お客様が必要とする価値や成果を、会社や社員の努力と結びつけるための活動全て」と広く捉えている。その上で、打ち出した方針が「全社員700人1をマーケターに変える」ことだった。


1 2018年8月現在、アルテリアの全社員はグループ社員などを含めて850人となっている。

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