経済産業省とロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は2016年10月4日、「第1回 中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」の選定結果を発表した。審査委員会は「中小企業の経営者自身が自社で役立つと判断できるか」という視点で評価し、約100のIoT(Internet of Things)ツールを選定した。これらは、IoTへの理解はある一方で高度で手が届かなかったり活用方法で悩んでいたりする中小企業が、安価なIoTツールについての情報を入手するのに役立つはずである。また、支援機関での活用も想定される。

 政府は昨年来、第4産業革命に向け大きくかじを切っており、今年に入ってからも活発な動きがみられる。安倍晋三首相は4月12日の官民対話で、中小企業の第4次産業革命への対応を支援するとして、今後2年間で1万社にIT専門家を派遣すると表明した。4月28日には経済産業省が、ドイツ経済エネルギー省との間で「IoT/インダストリー4.0協力に係る共同声明」に署名。この10月から、日独両国の連携による「中小企業部会」が活動を開始する。

 6月2日に公表された「日本再興戦略2016」では、第4次産業革命を国内全体に普及させる鍵となる中堅・中小企業へのITやロボットの導入を最大限サポートするという内容が盛り込まれた。6月20日に閣議決定された「ものづくり白書」でも、中小企業のIoTへの関心は高い一方で活用法が分からない現状を改善するため、「スマート工場実証事業」「スマートものづくり応援隊」、「中小企業に適したIoTツールの開発・提供」などの取り組みが強調されている。

 これらの政策を加速するため、官民による「未来投資会議」が設立され、9月12日に第1回が開催された。安倍首相は「地方を主役に世界を目指す、新たな技術革新の芽を社会変革につなげるような産業構造に改革していく」と述べ、第4次産業革命による現場の生産性革命に向け、具体的な方針を決めた。

 中小企業のIoT導入をサポートする地域のチーム体制のモデルも構築されている。8月24日、「カイゼン指導者育成事業(2次公募)」に、さいたま市産業創造財団、大阪商工会議所、山形大学、北九州商工会議所、ソフトピアジャパンが採択された。これらの組織は「スマートモノづくり応援隊」の拠点として活動を展開する。

 IT化に欠かせない金融面の支援体制作りも進んでおり、中小企業の経営強化、生産性向上や資金効率(キャッシュコンバージョンサイクル:CCC)の向上を狙った活動が繰り広げられている。企業間の銀行送金情報を国際標準である「XML電文」に移行させ、商流と金融との融合を図るための「金融EDI」などを推進する。また安倍首相は9月15日、日本商工会議所の通常会員総会で官主導による取引慣行の見直しへの決意を述べた。フィンテックを活用すれば数秒の間に資金は世界中を移動できるにも関わらず、日本では先進諸国のなかでもっとも支払いが遅いといった商習慣が横行している。迅速な支払いが行われれば、中小企業の賃上げもしやすくなるはずである。

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