AWS(Amazon Web Services)は年次カンファレンス「AWS re:Invent 2018」を2018年11月26~29日(米国時間)に米国ラスベガスで開催。オンプレミス向けのクラウドサービスやブロックチェーンなどこれまで同社が敬遠してきた分野を含めて、30種類を超える新サービスを発表した。

 「我々は顧客の声に常に耳を傾け、顧客が求めるものを提供している」。AWSのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEO(最高経営責任者)は基調講演でそう強調した(写真1)。毎回恒例のフレーズだが、今年は迫力が違った。これまで同社が敬遠していたサービスまでも、今年は発表したからだ。こうした動きは同社の変心とも取れる。

 これまでAWSが敬遠していたタイプのサービスの代表格が「AWS Outposts」だ。顧客のオンプレミスのデータセンターで、パブリッククラウドのAWSと同じ仕組みを実現できる。AWSが設計したハードウエアに仮想マシンサービスの「Amazon EC2」やブロックストレージサービスの「Amazon EBS」などのソフトウエアをインストールして提供する(表1)。

 AWS Outpostsの出荷開始は2019年下期の予定。機能は順次追加する計画で、リレーショナルDB のサービスである「Amazon RDS」やコンテナ管理の「Amazon ECS」、機械学習モデルの開発やデプロイができる「Amazon Sage Maker」なども利用可能になる。AWSがリモートから運用管理する。AWSの中でVMware環境を提供する「VMware Cloud on AWS」にも対応する。

写真1●AWSのアンディ・ジャシーCEO
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ブロックチェーンサービスを提供

 ブロックチェーンの取り組みにもAWSの独自性が色濃く表れている。AWSは今回、ブロックチェーンのマネージドサービスである「Amazon Managed Blockchain」と集中管理型の分散台帳データベース(DB)である「Amazon Quantum Ledger Database(QLDB)」を発表した。

 競合のクラウド事業者が相次ぎブロックチェーンのサービスを提供する中、これまでAWSはブロックチェーンに対して冷淡だった。「ブロックチェーンは興味深いが、実用的(プラクティカル)なユースケースを見つけられていない」(ジャシーCEO)と考えていたからだ。それにもかかわらずブロックチェーンのサービスを始めたAWSの意図はどこにあるのか。

 AWSのバイスプレジデントでDBサービスを統括するアヌラグ・グプタ(Anurag Gupta)氏は「台帳技術に対するニーズは高まっている」と語る。台帳技術とは「データの追記に特化し、すべての履歴を高速に追跡・分析できる技術だ」(グプタ氏)と定義する。

 グプタ氏は「Amazon QLDBは、AWS自身の台帳技術へのニーズに基づいて開発したDBだ。Amazon EC2に関する膨大な運用管理情報を記録し、履歴を確認する用途にAmazon QLDBを使用している」と明かす。

 それに対してブロックチェーンは「台帳技術が必要でかつ、非集中型のアーキテクチャーが必要だとするユーザーに適したソリューション」(ジャシーCEO)との位置づけだ。Amazon Managed Blockchainは、Amazon QLDBにデータを移行する機能も備える。AWSはブロックチェーンのサービスを用意すると同時に、ユーザー企業に対して「その用途でブロックチェーンが本当に必要なのかどうか」を問いかけているともいえる。

表1●オンプレミスとブロックチェーン関連の新サービス
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