オープンソースのWebサーバーソフトウエア「Nginx(エンジンエックス)」の商用版「NGINX Plus」などを開発・販売する米NGINXが日本市場に本格参入した。東京オフィスを開設し、日本でエンジニアの募集を始めた。

 米NGINXは日本市場の開拓に向けて、2019年2月に東京オフィスを開設した。日本でエンジニアの採用を進め2年以内に20人を確保する計画だ。国内販売代理店も増やす。2014年から国内販売代理店であるサイオステクノロジーに加えて、同2月からマクニカネットワークスと代理店契約を結んだ。日本語のサポートを充実させ、WebサーバーソフトのデファクトスタンダードであるApache HTTP Server(以下、Apache)や無料のオープンソース版Nginxから同社製品への乗り換えを促す。

 「オーストリアQ-Successの調査によれば、日本のWebサイトでNginxの利用率が2019年2月時点で約30%まで伸びている。5年前はわずか3%だったことを考えると、日本でNginxへの関心は高まっている」。こう話すのは、米NGINXのジャパンカントリーマネージャーの中島健氏だ(写真1)。

写真1●米NGINXの中島健ジャパンカントリーマネージャー(左)と同社の幹部
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 NginxとApacheの主な違いは、メモリーの割り当て方にある。Apacheは1つのHTTPリクエストに対して、1つのプロセスを割り当てる。そのため、大量のHTTPリクエストがあると、プロセスに割り当てるメモリーが増えてメモリー不足に陥ってしまうことがある。

 一方、Nginxは基本的にCPUのコア数と同じだけのプロセスを立ち上げ、キューにたまったリクエストを順番に処理していくので高速だ。HTTPリクエストが増えてもプロセス数は増えないため、消費メモリーを抑えることができる。

言語の処理系も追加できる

 オープンソースのNginxや商用版のNGINXは、静的コンテンツの公開やWebサーバーからコンテンツを取得してクライアント側に送り返すリバースプロキシーの用途に特化していた。ところが、2018年4月にリリースされた「NGINX Unit」によって、その用途は広がりつつある。

 NGINX Unitは、NGINXが開発したWebアプリケーションサーバーを構築するためのソフトウエアだ。PHPやPythonなどの言語に対応したWebアプリケーションサーバーを構築できる。いわば、言語ごとのランタイムに相当する。

 これまでのNGINXでは、Apacheのように言語ごとの処理系を追加するのは難しかった。そのため、前段にNGINX Plusを配置し、PHPやPythonのアプリケーションは、バックエンドで稼働するApacheなどを使って実行するという構成がほとんどだ。NGINX Unitの登場で、バックエンドで稼働するApacheを商用版のNGINXに乗り換える動きも加速しそうだ。