インターネットイニシアティブ(IIJ)は2015年1月、インドネシアの通信サービス事業者「Biznet Networks」とクラウド事業を提供する合弁会社「PT. BIZNET GIO NUSANTARA」を設立。同年5月からインドネシア国内にてクラウドサービス「Biznet GIO Cloud」を開始した。なぜIIJはインドネシアでクラウドサービスを展開するのか。サービス開始から1年が経過した現在のビジネス状況はどうなっているのか。現地で指揮を執るPT. IIJ Global Solutions Indonesiaの延廣 得雄President Directorに聞いた。


写真●PT. IIJ Global Solutions Indonesiaの延廣 得雄President Director
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なぜインドネシアでクラウド事業を立ち上げたのか。

 参入障壁が高く、内需が大きな国だからだ。

 インドネシアの地理的な特性は、東西が米国よりも広い中に1万3000ほどの島が存在する。全土をカバーするネットワークを作ることが難しく、地域ごとに独自の通信事業者が存在している。

 クラウド事業を展開するためには、強固なネットワークインフラが必要だ。しかし上記のような地理的な特性があるため、クラウド事業への参入障壁が高い。その結果、インドネシア国内にはAWSやAzureといったグローバルメジャーが進出していない。グローバルメジャーがいない市場にいち早く参入できれば、先行者利益をつかめる。それがインドネシア市場に目を付けた理由だ。

 どれだけよいクラウドサービスを出しても、内需が大きくなければサービスは売れない。その点、インドネシアは中心となるジャワ島だけでも1億2000万もの人口があり、内需は大きい。

 ここに来てインドネシアは、大学卒業前からアプリを開発するような開発者が増えてきている。インドネシアでは「OJEK」と呼ばれるバイクタクシーが普及しているが、米Uberのサービスのようなアプリ経由でバイクタクシーを呼べるサービスが爆発的に広がっている。今ではこのサービス上で、お弁当やマッサージ師の手配が可能になるなど、生活全般のプラットフォームと化してきた。このような国では、安くて手軽で信頼性の高いクラウドサービスのニーズは高い。

パートナーシップを組むBiznet Networks(以下Biznet)はどんな企業か。

 Biznetは、中堅の不動産系財閥傘下の通信事業者であり、インドネシア国内では民間で最大級の規模を持つ。ジャワ島を中心にトータルで1万5000キロメートルに及ぶ自前の光ファイバー網を持ち、データセンターもジャカルタ市内に2カ所、バリ島に1カ所持っている。

 我々がインドネシアでクラウド事業を展開するために必要なものは3つあった。(1)クラウド技術、(2)ネットワークインフラ、(3)営業体制を含めた人的リソース、だ。(1)のクラウド技術はIIJが持っている。足りないのは(2)ネットワークインフラ、と(3)営業体制を含めた人的リソース、だ。この二つを持っているのがBiznetだった。

 Biznetの3000人ほどの従業員のうち、営業担当者が約500人いる。インドネシア全土に50の営業拠点があり、既に数万社の顧客を持っている。新規事業を始める際、これだけのリードを持っていることが魅力だった。

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