健康関連商品のECサイトを手掛けるケンコーコムは、全社のシステムをオンプレミスからクラウドへ移行した。まず、基幹系以外の社内サーバー50台以上をAmazon Web Services(AWS)上に移し、その後、国内で初めてSAP ERPをAWS上に構築した。開発現場の奮闘をレポートしよう。

 ケンコーコムの笹葉 謙氏(図1写真右)が新設されたERP推進室の室長に就いたのは、東日本大震災の影響がまだ強く残る2011年5月16日のことだ。この組織は同社の基幹系システムを再構築するために作られた。最大の目的はERPパッケージの導入による内部統制の強化やIFRS(国際会計基準)対応であった。しかし、設置後しばらくは、本格的にプロジェクトを進められる状況にはなかった。

図1●基幹系システムのクラウド化を進めた森田 至氏(左)と笹葉 謙氏(右)
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 ERP導入プロジェクトを始められなかった理由は、別のITプロジェクトが社内で始まったからだ。それは、基幹系システムを除く、社内サーバー50台以上をAmazon Web Services(AWS)に移行するというものだ。これが終わらなければ、システム部門であるIT部の手が空かなかったのだ。

基幹系に先行してサーバー50台をクラウドへ

 ケンコーコム 代表取締役社長の後藤玄利氏は、東日本大震災直後に本社機能の一部を東京から福岡に移転することを決定した。震災後の電力不足や余震、予断を許さない福島第一原発の影響を考慮しての決断であった。2011年3月から5月の約1カ月半で本社機能を福岡に移し、新オフィスでの業務を開始した。本社機能を移転するに当たって、基幹系以外のサーバーを東京以外に移すことになった。対象は、本業のECサイトのサーバーをはじめとする社内サーバー50台以上である。

 ケンコーコムのシステム担当者はサーバーの移行先としてAWSを採用した。その最大の理由は移行にかかる時間であった。AWSでは仮想サーバーをすぐに構築できる。このスピードが決め手になった。東京から福岡のデータセンターに引っ越すという案も浮上していたが、採用しなかった。東京に設置していたサーバーを物理的に輸送していては、移設だけで数日かかってしまう。物理的に輸送せずに、移行先に新たに同数のサーバーを導入してデータを移行する案は、コスト面から却下された。データ移行に時間がかかったが移行作業は無事に完了した。

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