「キー・バリュー・ストア(KVS)」「NoSQL」「MapReduce」――。今から5年ほど前。2008年秋から2009年夏にかけての1年間は、筆者にとってエキサイティングかつ大変な時期だった。冒頭に紹介したような新しい技術や概念が次々と話題になり、それらの取材や勉強に大わらわになっていたからだ。

 これらの技術や概念の中には、即座にユーザーに根付いたものもあれば、なかなか根付かなかったものもある。前者の代表例が「MapReduce」であり、後者の代表例が「キー・バリュー・ストア(KVS)」「NoSQL」だった。MapReduceは、米グーグルが考案した分散データ処理の仕組みである。KVSは、データをシンプルなキー(Key)と値(Value)の形で格納するデータベースのことを指す。クエリーに「SQL」を使用するリレーショナルデータベース(RDB)とは異なるアーキテクチャであることから、「NoSQL」などとも呼ばれる。

 MapReduceはオープンソースソフトウエア(OSS)実装である「Hadoop」を通じて、通信事業者や金融機関といった大手企業にまたたく間に普及していった。一方のKVSとNoSQLは、言葉としては話題になったものの、なかなか利用事例が増えなかった。そのため筆者がKVSとNoSQLの話題を熱心に追いかけていたのは2012年頃までで、ここ1~2年ほどはKVSとNoSQLの記事をほとんど書いていなかった。

写真●米バショーテクノロジーズ(Basho Technologies)のアダム・レイ(Adam Wray)最高経営責任者(CEO)
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 ところが実際には、KVSとNoSQLは着実に普及しているのだという。2014年9月にインタビューをした、NoSQLデータベース「Riak」のベンダーである米バショーテクノロジーズ(Basho Technologies)のアダム・レイ(Adam Wray)最高経営責任者(CEO)は、米国の経済誌Fortuneが毎年発表する「Fortune 500」のランキング(売上高上位500社)に入るような米国の大企業の3分の1が、同社の製品を導入していると明かした(写真)。

英国保険制度の基幹DBもNoSQL

 特に2014年に話題になったのが、英国の「国民保険サービス(NHS、National Health Service)」の基幹データベース「Spine2」に、Riakが採用された事例である(発表資料)。NHSのSpine2は、NHSに加入する8000万世帯の診察データなどを記録するデータベースだ。一つ前のバージョンである「Spine」は、米オラクルの「Oracle Database」で運用されていた。それがRiakに置き換わった。

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