少し気が早いが2017年を振り返ってみたい。この1年間、特に私が感じたのは「デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)に取り組む企業が急増した」ということだ。

 企業がデジタル変革の重要性を認識し始めた表れと言えるのが、専門組織の設置である。デジタル戦略部、IoT(インターネット・オブ・シングズ)推進室など、企業によって具体的な役割や名称は様々だが、デジタル技術を駆使して新しい事業や業務プロセスを作り出す部署を設ける企業をよく見聞きするようになった。

 私が運営を担当している、事業変革リーダーのための会員制サービス「日経ITイノベーターズ」が2017年11月22日に開催した年次総会で、来場者に対して「デジタル変革の専門組織はありますか?」とアンケートをとったところ、53.5%が「ある」と答え、「ない」(46.5%)を上回った(回答数は142)。会合の性格上、デジタル変革に関心のある参加者が多いとはいえ、半数を超えたことに驚いた。既に、少なくない数の企業がデジタル変革の実行フェーズを迎えていると見て良いだろう。

 では、デジタル変革を進める上でのポイントは何か。2017年、いくつもの企業事例を取材するなかで、私は常にそれを意識してきた。一つだけ挙げるとすれば「成果が出ない時期でも諦めない胆力」ではないかと考えている。

 新事業やこれまでにない業務プロセスを作り出そうと挑戦すれば、最初からうまくいくことはまずない。取材したほとんどの企業は、実現手段などを少しずつ変えながら試行錯誤を繰り返していた。

 日本航空(JAL)が実施している、ビッグデータ分析による飛行機の不具合予測の取り組みも、成果が出るまで時間がかかった事例だ。

成果が出る確証なんてなかった

 JALは現在、飛行機のエンジンや装備品などの部品から取得できるセンサーデータや整備履歴を分析することで、不具合が発生する前にその予兆を検知している。予兆の出た部品を事前に交換するなどして、欠航や遅延などを未然に防いでいる。

日本航空の整備工場
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 「定期点検や日々の整備をしているので、そもそも問題が起こることは極めて少ない。だが、より一層サービス品質を高めるため、データ分析を駆使している」とJALの機材整備を担うJALエンジニアリング 技術部技術企画室の竹村玄氏は説明する。

 今でこそ、予兆の段階で不具合の芽を摘む、新しい整備業務のプロセスを確立しているJALだが、取り組みを始めた当初は「そもそもセンサーデータから予兆を発見できるかどうか、確証がなかった」(竹村氏)。

 試験的に分析を開始したのは2015年11月のこと。日本IBMの統計分析ソフト「IBM SPSS Modeler」を導入して、センサーデータから不具合の予兆を検出できるかを検証した。具体的には、過去に不具合が生じた部品から得られるデータのうち、不具合が発生する直前の数値が正常時と比べて何らかの特徴があるかどうかをチェックした。

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