NTT東西が年内に開始する光回線の「サービス卸」を巡り、水面下で動きが慌ただしくなってきた。とはいえ、インターネット接続事業者(ISP)をはじめとした通信業界の関係者から出てくるのは、不満ばかり。今回は、サービス開始を目前に控えた舞台裏を紹介したい。

卸料金が高く、西日本では利益が出ない

 サービス卸とは、光回線の新たな貸し出し形態のこと。従来は通信設備の「相互接続」だけで参入障壁が高かったが、サービス卸はいわゆる「再販モデル」となり、1回線単位で貸し出す。これまでISPが提供してきた「フレッツ光」と違い、借り手が独自ブランドでサービスを展開できる。開通工事や故障修理など専門知識が必要な業務はNTT東西が実施するため、異業種でも参入しやすい。

 それだけに期待も高く、NTT持ち株会社が5月13日にサービス卸を発表して以来、300社超からの問い合わせがあった。NTT東西が9月30日に東京都内で開いた説明会には約100社が参加した。ただ、借り手の評判は良くない。卸料金の水準が高く、「新しいサービスを始めようという気にならない」(あるISP)というのだ。

写真1●サービス卸の料金水準は非公開
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 NTT東西は10月16日に説明会資料を公表したが、内容は大まかな提供条件だけで、肝心の卸料金は非公開としている(写真1)。機密保持契約を締結した企業だけに開示するという。NTT東西は厳しいかん口令を敷き、借り手に聞いても「NTTグループとの取り引きが停止になったらかなわない」(ISP)と、関係者の口は重い。

 ただ、10月中旬には「戸建て向けで月3500円程度、集合住宅向けで月2500円程度」との噂が出てきた。複数の関係者が暗に認めており、確度は高いと見ている。確かに、この料金水準であれば、借り手からの不評も理解できる。

 特に西日本エリアでは、NTT西日本が11月30日まで提供中の「どーんと割」を適用することにより、最初の2年間と8年目以降は月3610円(戸建て向けの場合、ISP料金を除く)で利用できる。無線LAN対応のHGW(ホームゲートウエイ)との組み合わせで料金を比べると、サービス卸のほうが高くなってしまうという。西日本エリアは競争が激しく、それだけNTT西日本が薄利で提供していることの裏返しなのかもしれない。一方、東日本エリアでは一定の利幅を確保でき、この限りではないが、多くのISP関係者ががっかりしたもようだ。

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