2016年11月8日(現地時間)に実施された米大統領選で、ドナルド・トランプ氏が次期大統領に選出された。選挙戦を通じ、その過激な言動を世界中にとどろかせてきたトランプ氏だけに、2017年1月の就任後に何が起こるのかと身構える人も多いだろう。

 ITproでは、トランプ氏勝利が伝えられた2016年11月9日に「『2回目の驚き』『不安定な世界が訪れる』、トランプ氏勝利に揺れるIT業界」と題し、国内大手ITベンダーの経営者などの所感をまとめた。NTTデータや野村総合研究所を始め、多くの経営者の方々が短い時間のなかで示唆に富んだコメントを寄せてくださった。

 米国のIT産業は、古くはメインフレームの時代から世界のIT業界をリードする存在として君臨し続け、ここ10年ほども「ソーシャル」「モバイル」「シェア」などを旗印に社会のあり方をも変えてきた。自動車産業のビッグ3などがリーマンショック以降の苦境にあえぐなか、米国IT産業は「強い米国」を象徴する存在となっている。

 そこへ突如として現れたトランプ氏。「偉大な米国を取り戻す」をスローガンに、諸外国の困惑に目もくれず米国第一主義を掲げる。ならばIT産業とも利害一致、手に手を取り合って米国の国益の最大化へ進むかと思いきや、そう単純な話でもなさそうだ。開票日のざわざわとした状況から少し落ち着いたところで、本稿ではトランプ大統領が率いる米国のIT産業でどのような変化が起こりそうか、改めて考えてみたい。

法人減税はプラスだが、問題は「実現できるか」

 米国のIT企業にとってプラスに働きそうなのは、連邦法人税率を35%から15%へと一挙に半分以下に引き下げるという大型減税だ。日本の財務省が2016年4月時点でまとめた、各国の国税・地方税を合わせた実効税率は、米国が40.75%。日本の29.74%やフランスの33.33%、ドイツの29.72%などと比べても群を抜いて高く、米国企業の不満の種となっていた。

 トランプ氏はこれらの施策により、米国企業の国内回帰や雇用拡大、所得増加などにつなげる考えだ。とはいうものの、この法人減税には課題がある。これだけの大盤振る舞いを担保する財源が明確にされていない点だ。

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