安倍晋三首相による“異例”の指示で始まった携帯電話料金の引き下げ議論。総務省が立ち上げた「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の2回の会合を経て、方向性がだいぶ見えてきた。以下では、今後の展開を占いたい。

1Gバイトプランの提供要請は当確か

 タスクフォースの結論として、ほぼ間違いなく採用されそうな案は、毎月のデータ通信量が「1Gバイトのプランの提供」である。携帯電話大手3社の新料金プランは現状、2Gバイトで月3500円からとなっている(図1)。1Gバイトのプランが登場すれば、料金負担の押し下げ効果を見込める。

図1●携帯電話大手3社の新料金プランは2Gバイトで月3500円から(出所:総務省)。同資料ではソフトバンクの8Gバイトの料金が抜けているが、現在では他社と同様、月6700円で提供中である。
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 総務省(旧郵政省)は携帯電話料金について、1995年10月に認可制を廃止して事前届出制に緩和。2004年4月には事前届出制も廃止して原則自由化を決めた経緯がある。料金を強制的に下げさせる手立てを失っているわけだが、上記の内容であれば要請しやすい。

 というのも、2014年12月19日に割り当てた3.5GHz帯周波数の免許条件には「利用者の通信量需要に応じ、多様な料金設定を行う計画を有すること」を入れたほか、2014年12月10日に公表した「ICTサービス安心・安全研究会報告書」でも「利用者のデータ通信量分布に応じた多様な料金プランを提供することが適当」と結論付けた。「1Gバイトのプランの提供」と具体例を示しながら、料金プランの多様化を改めて要請することは十分に考えられる。

 KDDI(au)やソフトバンクは、総務省が2015年10月26日に開催した公開ヒアリングで「スマートフォンのトラフィックは増加傾向にある」と主張した。月間の平均トラフィックはKDDIが「3.7Gバイト」(2015年6月時点、au LTEユーザー)、ソフトバンクが「約4Gバイト」(前提条件の記載なし)。NTTドコモは言及しなかったが、「2.9Gバイト」(2015年4~6月期、LTE+spモード)という。1Gバイトのプランに飛び付き、途中で容量を追加する羽目になれば、かえって高くつくケースもありそうだ。

写真1●高市総務大臣は安倍首相の指示を受けた直後から「1Gバイトという選択肢があってもいい」と指摘していた。写真は2015年9月15日の閣議後記者会見。
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 もっとも、こうした抵抗は全くの無駄に終わった。高市早苗総務大臣(写真1)は公開ヒアリング翌日の閣議後記者会見で「総務省が大手3社から報告を受けている契約ごとの月間通信量の分布を見ると、1Gバイト未満のユーザーが多くを占める」と指摘。さらに「フィーチャーフォンを含めた月間の平均トラフィックは2015年6月時点で約1.9Gバイト」「平均値より分布のほうが重要」と畳みかけた。この案はもはや「当確」だろう。

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