ついにGoogleが日本に上陸する――。というと、「もう既にあるでしょう?」と思う方もいれば、「ああ。そうだった。2016年中という発表があったなあ」と思う方もいるだろう。「日本に来るのを、待ち望んでいた!」という方は、ビッグデータであったり、AI(人工知能)であったりにかかわるITエンジニアの方ではないだろうか。

 「Googleの上陸」は、「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」といったクラウドコンピューティングの導入にかかわるITエンジニアの間では今、大きな話題になっている。

 米Googleは2016年内にも同社のクラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」を提供するデータセンター(DC)を東京に開設する。これまで日本に最も近いGCPのDCは台湾にあったので、日本でGCPを利用してきた企業や、これからGCPを使いたいと考えていたITエンジニアにとっては朗報だ。クラウドを利用する際に気になる事項の一つ、レイテンシー(遅延時間)が改善するだけではなく、「日本国内にあれば心理的に安心するユーザーも多い」(GCPを使ったシステム開発を専門に手がける吉積情報の吉積礼敏 社長)からだ。

 GCPの上陸は日本のクラウドコンピューティング市場において、大きな転機になるのではないか。日経SYSTEMS2016年10月号の特集「クラウドの新常識25」のための取材をする中で、こう考えるようになった。

 GCPが日本にDCを開設することは、「オンプレミスのサーバーやストレージの代替」としてのみクラウドコンピューティングを選ぶ時代が終わるきっかけになる。AWS、AzureそしてGCPのような海外からやってきたクラウドサービスが、サーバーやストレージ代替のインフラ機能を提供するだけのクラウドサービスを駆逐する時代が、本格的に始まると考えている。

日本企業はプライベートクラウド好き

 「クラウドコンピューティング」といっても、人によってイメージは違うかもしれない。アーキテクトなのか、インフラエンジニアなのか、あるいは、ユーザー企業に所属するのか、ITベンダーに所属するのか、など立場によって思い浮かべるサービスが異なりそうだ。

 ここでは、サーバーやストレージなどの機能をクラウドサービスとして提供するIaaS(インフラ・アズ・ア・サービス)や、ミドルウエアも含めて提供するPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)について考えたい。

 これまでのIaaSの選択基準と言えば、「セキュリティは大丈夫か」「可用性は問題ないか」といった内容が主流だった。IaaSを、オンプレミス(自社導入型)で利用しているサーバーやストレージといったハードウエアの代替としてとらえ、業務を停止させないようなセキュリティ機能や信頼性が備わっているかどうかを検討する考え方だ。

 このため、ITベンダーのデータセンターに利用者ごとに専用のサーバーを用意し、それをユーザー企業がサービスとして使うプライベートクラウドが、日本企業には人気のサービスになっている。リソースが特定できるために監査の際も問題なく、障害が発生すればITベンダーが対応に当たるため、クラウドと言いながらも、ユーザー企業がオンプレミスのサーバーと同等の信頼性や安心感を得ることができるのがメリットだ。

 実際、図1の通り、日本ではIaaSやPaaSと比べてプライベートクラウドの採用率が高い。

図1●日本企業のクラウド採用率。灰色が2012年、青色が2016年の採用率
(出所:ガートナージャパン 2016年2月)

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