「クラウドの活用は中小企業に大企業を揺るがすぐらいの力をもたらす」――ちょうど1年前、ある大手ベンダーのクラウド担当役員は記者にこう断言した。そして今、日増しにこの言葉が現実になりつつあると、改めて実感している。

クラウドで日本発、世界初のサービスを実現

 例えば、2015年9月にゼネテックが提供開始した防災向け位置情報自動通知サービス「ココダヨ」は、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウドサービスによって実現した(関連記事:ゼネテックが「世界初」の防災サービス、実現支えたスマホとクラウドの普及)。

写真1●ゼネテックの防災向け位置情報自動通知サービス「ココダヨ」
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 ココダヨは緊急地震速報などの災害発生時の警報発令をきっかけに、あらかじめサーバーに保存していた災害発生直前の家族や従業員の位置情報をスマートフォンに通知する(写真1)。同社が取得した特許技術を基に開発しており、「日本発、世界初のサービス」(ゼネテックの上野憲二代表取締役社長)という。

 ゼネテックの社員数は200人弱。うち、ココダヨの開発や運用に携わる主なメンバーはわずか5人だ。同社社長室室長(新規事業推進担当)の後藤義仁氏はクラウドの活用により、「限られた人数でも問題なくサービスを運用できる」と話す。

 今後3年間で1000万ユーザーの登録を目指すとしており、急激なユーザー数の増加にもクラウドなら対応できるという。災害時の事業継続性という観点から「サーバーを2重化して可用性を上げるのも簡単」なのもクラウドの利点と後藤氏は語る。

IoTで破壊的イノベーションを起こす

 暖房機器などの家電を開発・製造するHEATECは2015年4月から、中小企業向けにIoT(Internet of Things、モノのインターネット)システムやセンサーネットワークを容易に実現するためのIT基盤「OMOIKANet(オモイカネット)」を販売している(写真2)。

写真2●HEATECが販売するIoT向けIT基盤「OMOIKANet(オモイカネット)」のシステム概要
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 OMOIKANetは日本IBMのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)である「Bluemix」を使って開発した。専用の通信モジュールや温湿度センサーボードを家電などに組み込むことで、温度や湿度といったデータをクラウド上のデータベースに蓄積できる(写真3)。

写真3●無線LANチップを搭載した専用の通信モジュール
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 蓄積したデータは、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)経由でPCやスマートフォン向けアプリなどに表示可能だ。PCやスマホから家電などの遠隔操作もできる。

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