G7(主要7カ国)としては21年ぶりとなる「情報通信大臣会合」が2016年4月29~30日、香川県高松市で開催された。6月に開かれたG7伊勢志摩サミットに併せて10の政策分野で開かれた担当大臣会合の一つだ。

 議論されたのは、G7がビッグデータやIoT(Internet of Things)、AI(人工知能)などの最新技術に政府としてどう臨み、どう協調していくのか。そして、その基盤になるインターネット上での自由な情報流通を政府がどう保証するかといったICT(情報通信技術)に対する規制のあり方だ。

 「踏み込んで合意を形成したいが、予想以上に難航している。主要国の政策担当者が『インターネットの自由を守る』と口をそろえても、各論になると見解の食い違いが表面化する」。日本が議長国となる会合に向けて、各国の担当省庁と事務レベルで事前協議に当たった総務省の担当者は会合の開催前、記者の取材にこう漏らした。

 G7情報通信大臣会合には、政府によるインターネット上の情報統制に肯定的な中国やロシアに対抗し、G7が意見を一つにして対抗軸を打ち出すという目的も帯びていた。しかし、例えば個人データの取り扱い方などに言及すると一部の欧州国と米国との意見の違いが表面化する。合意の案がかなり抽象化して具体性に乏しくなる恐れもあった。

 しかし、最終的に合意された成果文書は中期的に民間ビジネスにも影響力を持ちそうな踏み込んだ政策目標も含まれている。例えば、G7の間では企業や民間団体が特定の国や地域で収集したデータを域内だけで管理するよう規制する「データローカライゼーション」に明確に反対する、との立場を明言した。

 つまりこの方針の下で、日本と欧州政府が、個人情報データを国境をまたいで自国のデータセンターに移転して利活用する「データ越境移転」の実現へと交渉を前進させる可能性などが出てきたのだ。本記事では、G7香川・高松情報通信大臣会合の模様と、成果がどのように民間ビジネスに関わりそうかを紹介したい。

ほぼ「インターネット政策」の国際協調がテーマ

 2日間の会合は瀬戸内海を臨む高松市内のホテルで開催。G7の担当大臣ら関係者が集う全体会合と、全体会合に先だって時間が設けられた2国間協議が主な議論の場だ。なお会談の模様は原則として非公開。会議後に開かれた会見や総務省・経済産業省の職員によるレクチャーが会合の模様を知るほぼ唯一の手段だ。各国の担当大臣が市内にある名勝「栗林公園」で昼食会や一部会合の前には、写真撮影の機会も与えられた(写真1)。

写真1●G7香川・高松情報通信大臣会合で集合写真に並ぶ高市早苗総務大臣(右から6番目の女性)と各国の担当大臣
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