製造現場では、生産工程で発生する様々な情報を収集し、一元管理する取り組みが本格化している。「IoT」(モノのインターネット)というキーワードで注目を集める取り組みの1つだが、既に生産性の向上や品質の安定化などで成果を上げる製造現場が登場してきた。衛生陶器を生産するTOTOの滋賀工場も、こうした成果を上げる製造現場の1つだ。

 TOTOの滋賀工場は昨年、6年がかりで取り組んできた新工場の建設プロジェクトを完了させた。新工場の目玉の1つが、何段階にもわたる生産工程の情報を個々の製品にひも付ける形で一元管理できるようにしたことだ。

 製品に貼り付けられたバーコードをスキャンすれば、その製品にひも付いた「成形に利用した型番」「その型番で成形した日時」「利用した窯のライン」「窯に投入した日時」「その時の窯の温度」「窯から出てきた日時」など、合計475項目の情報を一発で呼び出せる(写真1)

写真1●衛生陶器の裏面に貼り付けられたバーコード
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 新工場が完成する以前から、TOTOの滋賀工場では生産工程の情報を収集していた。だが、個別の製品とはひも付いていなかったため、最終工程の品質検査で不良が見つかっても、生産工程のどこに問題があったのかを特定するのが困難だった。生産工程で発生した膨大なデータから、手作業で調べていくしか方法がなかったからだ。

 バーコードを使った生産工程の一元管理を実現したことで、不具合が発生した原因を特定しやすくなり、歩留りは飛躍的に向上したという(写真2)。さらに、いま生産工程を流れている製品をリアルタイムに把握することも可能になり、これが生産効率の向上につながっている。

写真2●衛生陶器を窯に投入する様子。窯の入り口で製品ごとの投入日時を生産工程管理システムに登録している
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 TOTOの滋賀工場では特注品のような少量生産も手掛けるが、これまで不良の発生を見込んで受注数量より多めに生産していた。現在は受注数量だけを生産し、万が一不良が発生したときは不良品の数だけを追加生産している。不良が発生すれば納期が遅れるが、生産状況がリアルタイムに把握できるので正確な納期を約束することで、顧客の理解を得ている。

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