スマートフォンの実質価格をめぐって、携帯電話事業者と総務省の間でゴタゴタが続いている。総務省は、安倍晋三首相の指示による携帯料金引き下げ議論の取りまとめ受けて、3月25日に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を策定。しかしこのガイドラインは、どこまでが実質価格の下値の“許容範囲”なのか判然とせず、携帯大手各社と総務省の間で探り合いが続いているからだ。そしてガイドライン適用が始まってからわずか4日後の4月5日、総務省はソフトバンクとNTTドコモに対してガイドラインの趣旨に反するとして行政指導する事態に至った。

 一ユーザーとしてみると、一連のゴタゴタはまるでユーザー不在に見える。携帯料金の引き下げを目的として始まった議論の結果が、端末価格の高騰とは、一般ユーザーは業界内で何が起こっているのかまるで訳が分からないのではないか。総務省や大臣が権力を行使して、キャッシュバックの撲滅に躍起になっているような印象しか受けないだろう。

 ただ業界が健全化の方向へと転換していくためには、上記のステップは避けて通れない道であることも事実。業界が行き過ぎた販売競争から本当に転換できるかどうか、中長期的なスパンで注視していく必要がある。

 一連のゴタゴタをめぐって業界内では、様々な情報が飛び交っている。通信専門ニューズレター「テレコムインサイド」では毎週、通信業界の深部に迫る記事を配信している。ここでは弊誌がつかんだ情報をベースに、その舞台裏を解説したい。

総務省が“下値”基準を明かせない事情

 端末販売の適正化に向けた基本的な方向性は、昨年後半に総務省で開催された「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の取りまとめで示された。MNP(モバイル番号ポータビリティー)を対象とした「実質0円」や「一括0円」など、端末価格を下回るような行き過ぎた端末販売競争がユーザー間の不公平性を招いていると指摘。携帯電話事業者に対し、行き過ぎた端末販売競争の是正を要請し、そこで浮いた原資をライトユーザーや長期ユーザーに向けの通信料金の値下げに充てる。「端末販売競争からサービス競争への転換」を促すというのが、総務省の基本スタンスである。

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