不動産管理などを手がけるライナフが2018年1月30日に発表した「サービスが入ってくる家」が興味深かった。スマホで鍵を遠隔地からでも開け閉めできる「スマートロック」を全戸に配備した賃貸マンションを開発し、生鮮食品宅配サービスや家事代行サービス事業者と連携。家を留守にしていても、荷物を受け取れたり家事のようなサービスを受けられたりするという、「サービスが家に入ってくる」コンセプトだ。

ライナフが自社開発するスマートロック「NinjaLock」。2月下旬から全戸にNinjaLockを配備した賃貸マンションを売り出す
出所:ライナフ
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 スマートロック自体は2014年くらいから市場に出ているし、宅配サービスや家事代行サービスも右肩上がりで伸びている拡大市場だ。それらを結び付けただけといえばそれまでだろう。ライナフのサービス自体も、サービス提供者を入室させるたびにサポートセンターに電話する必要があるなど、まだ荒削りと感じる部分もあった。一方で、記者自身は、家や家族というものを考える大きなきっかけになった。

土間とホテルで「家」を再定義

 当日開いた記者発表会で、ライナフの滝沢潔社長が言及した2つのポイントに「なるほどなあ」と感じた部分があったためだ。1つは「土間を復活させたい」という狙い。従来、日本の家には土間があり、「家の中でもない外でもない中間の場所に、色々なモノが置かれたり人が入ってきたりしていた」(滝沢社長)。

 それがスペースの都合やセキュリティという名の下に無くなってしまった。「土間を新しくしたいというコンセプトで挑んだ」と話した滝沢社長の考え方は、日本がかつて持っていた「家」の機能を見つめ直すという意味で面白い視点だ。セキュリティという名の下に閉じてしまった家やつながることをしなくなった近隣の居住者に対して、もっと外に開いてもいいのではないかという提案に感じた。

 もう1つは、「ホテルのようにサービスを受けられる部屋になる」という言葉だった。同社が2月下旬に売り出す東京都大田区の賃貸マンションでは、文字通り自宅にサービスが入ってくる。ただ、いくらスマートロックやカメラによって「セキュリティが担保される」と言われても、心理的なハードルを持つ人が少なくないだろう。

 では、ホテルで私たちが受けているサービスを考えてみたらどうだろう。掃除をしてもらい、ベッドメイクをしてもらい、「どしどし」部屋に入ってもらっている。当然、自宅に比べれば所有物が少なく、大切なものは金庫に入れておけるので、入室を「許す」心理的状況を生み出しているとはいえる。ただ、記者個人としては、確かに「ホテルのようにサービスを受けられる部屋」だと考えを改めてみると、少し心理的ハードルが下がったのも事実だ。

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