2025~2035年ごろに、日本の労働人口の49%を人工知能(AI)やロボットで代替できる──。野村総合研究所(NRI)は2015年12月、英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らとの共同研究による、こうした推定結果を発表した(NRIのニュースリリース)。

 同研究は、AIなどで代替できる可能性が高い職業には「必ずしも特別の知識・スキルが求められない」「データの分析や秩序的・体系的操作が求められる」といった傾向があるとして、CADオペレーターやデータ入力係、電子計算機保守員(IT保守員)などを挙げる。

 これに対し、「抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される」「他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる」職業は、AIなどで代替できる可能性が低いとする。経営コンサルタントやマーケティング・リサーチャーなどがその例だ。

自分たちにしかできない仕事とは何か

 この文をお読みの皆さんの中には「AIに自分の仕事が奪われるかもしれない」という危機意識をお持ちの方がいるかもしれない。確かに10年後を待たずに、AIが取って代わる領域が出てくる可能性は十分ある。筆者が属する出版業界も例外ではなく、記事を書くAIは既に現実になりつつある。

 そんな状況で「人工知能に仕事を奪われてもいいじゃないか」などと言うと、反感を買うに違いない。その仕事をAIで代替できようができなかろうが、生活のために収入を得ている人たちにとって、仕事が奪われるかどうかは深刻な問題だ。

 ここで言いたいことは二つある。人工知能に仕事(の一部)を奪われた方が、我々にとってかえって好都合なケースもあるのではないか、というのが一つ。もう一つは、「自分たちにしかできない仕事とは何か」「社会的にもビジネス面でも価値をもたらす仕事とは何か」を真剣に考える時期が来ているのではないか、ということだ。

 こうした問題意識の下でタッグを組んだ二つの企業がある。人工知能ベンチャーのオルツ(alt+)と、会計事務所のAGSコンサルティングである。両社は2015年11月、会計・税務の知識を持つAIを共同で開発すると発表した。

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