総務省は2017年12月から「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」と呼ぶ有識者会議で、格安スマホのさらなる活性化に向けた施策の検討を始めた。格安スマホは依然として伸びているが、最近では「Y!mobile」や「UQ mobile」といったサブブランドを含む携帯電話大手の反攻を受け、勢いに陰りが出てきた。総務省が次にどのような一手を繰り出すのか注目が集まっている。

携帯電話料金の引き下げに向けた総務省のこれまでの取り組み
出所:総務省
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 最大の焦点は、サブブランドの扱い。有識者会議の名称にもある通り、サブブランドは「公正競争」の観点で問題があるとして、格安スマホを手掛ける事業者の間で不満が高まっている。具体的には、「派手な広告宣伝や大規模な店舗網を展開している」「実効速度が携帯電話大手並みに速い」「テザリングで優遇を受けている」などである。だが、業界関係者の間では「サブブランド問題に直接メスを入れるのは難しい」というのが一般的な見方だ。決着の方向性は見えていない。

最大の標的はUQ mobile?

 一口にサブブランドと言っても、事業形態はY!mobileとUQ mobileで異なる。Y!mobileは携帯電話大手のソフトバンク自身が手掛けるサービスに対し、UQ mobileはKDDI(au)の連結子会社であるUQコミュニケーションズがMVNO(仮想移動体通信事業者)として展開するサービスになる。

 似た者同士に見えるかもしれないが、この違いは大きい。携帯電話大手がグループ内の特定MVNOだけを契約面で優遇(差別的取り扱い)していれば問題だが、前者のY!mobileについては同一会社による提供のため、文句の付けようがない。「一物二価」を問題視する声もあるが、多くのユーザーが料金低廉化の恩恵を受けており、「必ずしも不当とは言い切れない」(総務省幹部)。

 このため、最大の標的はUQ mobileと見られている。ただ、総務省はKDDIが回線の貸し出し料金(接続料)でUQ mobileを優遇していないことを確認済み。UQ mobileの広告宣伝や店舗網も別事業(WiMAX)の収益を原資に展開しており、明らかに問題があるとすればテザリングの取り扱いくらい。そのテザリングも「提供を拒んでいるわけではなく、端末設定やネットワーク連携に技術的な問題があって実現が遅れている」(KDDI幹部)だけになる。

 もちろん、KDDIはUQ mobileに対し、営業部門を中心に人材を送り込んだり、店舗拡大に当たって便宜を図ったりと様々な支援を行っている。とはいえ、これらまで厳しく制限するのは難しい。仮に制限したとしても、KDDIはUQ mobileを吸収してY!mobileのように同一会社としてしまえばよく、抜本的な解決につながりそうにない。「事業形態の違いでUQ mobileだけを取り締まれば歪んだ規制になる」(有識者会議の構成員)といった指摘もあり、テザリングの問題については早急な解決を求めるとして、別の角度からの検討が有力となりそうだ。

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