ある調査会社の統計によると、PBXやユニファイドコミュニケーション(UC)を合わせた国内音声系の2015年度の売り上げは約1800億円だったという。そのうち従来型のPBXやボタン電話の売り上げが90%近くを占め、UCは10%程度にすぎない。

 PBXやボタン電話の多くはリプレース需要で売れるのだが、IPか非IPかで言うといまだに40%程度は非IPのまま更改されている。この状況は数年先でも大きく変わりそうにない。

 2003年の東京ガス・IP電話をきっかけに企業でのIP電話導入が本格化して13年、UCという言葉が登場したのも同じ年なので13年が経過している。音声系はなかなか変化しない。

変わらない電話、変わるパソコン

 しかし、変わらないことが非合理的とは言い切れない。ユーザーは変えないほうが得だから変えないのだ。先日、数千人が働く巨大な工場を訪問した。20年にわたって約3000台の構内PHSを使っているという。PHS端末を更改する周期は7年から8年である。PHSや固定電話機を収容するPBXの更改周期は10年を超える。

 工場内では必要なときに確実に電話がつながることが重要であり、PHSをスマートフォンに変えてメールやブラウザーが使えるようにしても、場内で忙しく立ち働く人たちには有用ではない。事務所に戻ったときにパソコンが使えれば十分なのだ。構内に張り巡らされた電話回線は20年でも使える。わざわざイーサネットを配線したり、無線LAN設備を導入しても費用がかさむだけである。

 10年周期でしか変わらない電話に対して、パソコンは3、4年の周期でころころ変わる。ユーザーが望んで変えるというよりマイクロソフトの都合で変えざるを得ないのだ。

 UCはパソコン中心の仕組みだが、変える必要のない電話をパソコンと同じ変化のサイクルに入れてしまってはコストが増大するだけでメリットは少ない。

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