書籍取次大手の日本出版販売(日販)は2017年ゴールデンウイークに合わせて、傘下の2書店でIoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用した新しい販促手法の実証実験を始めた。1月にデジタルハリウッドと共同開催した一般公募コンテスト「書店体験を変えるIoTプロダクト ハッカソン」の優秀作品を店頭で実装したものだ。

「パルコブックセンター吉祥寺店」の特設売り場。何気なく本が並ぶ
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 東京都武蔵野市の吉祥寺駅前にある「パルコブックセンター吉祥寺店」では5月1日から7日まで、書店員が作った手書きPOP(店頭販促広告)をスマートフォンアプリ上にAR(拡張現実)で浮かび上がらせる「POPSTAR(ポップスター)」を展開する。実店舗ならではの魅力である手書きPOPによる訴求を強めて、来店客の購買意欲をかき立てることを狙う。

スマートフォンアプリ上にAR(拡張現実)で手書きPOPが浮かび上がる
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 ARが作動するのはエスカレーター前の特設売り場と、文庫売り場、コミック売り場の3カ所。それぞれの場所にBluetoothビーコン発信機を設置しており、スマートフォンの画面には売り場に応じたPOPが表示される。POPの情報を購入の参考にしたり、POPから本の詳細情報を調べたりできるようにしている。

 一方、東京都杉並区の荻窪駅前の商店街にある「文禄堂荻窪店」では4月25日から5月7日まで、 来店客の行動に合わせて映像を流したり香りや風を発生させたりする「Bookkey(ブッキー)」を展開する。ベストセラー青春小説『君の膵臓をたべたい』(住野よる著、双葉社)の特設売り場で稼働している。

「文禄堂荻窪店」にある『君の膵臓をたべたい』の特設売り場
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 売り場には、人感センサーや重量センサーなどが仕込まれている。小型コンピュータ「Raspberry Pi(ラズパイ)」を使って制御し、売り場に客が来た・去った、本を手に取った・戻したなどの状況を検知する。

棚の下部に人感センサーがある。本は重量センサーの上に平積みされており、来店客の行動を検知する
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 売り場に客が来ると、自動的に映像と音声を流したり、扇風機で桜の香りをたてたりする。本を手に取った場合は、レビューを表示してさらに購買意欲をかき立てる。本を買わずに戻した場合は「関心がなかった」と判断して別の作品の販促映像を流す。