米Microsoftは2017年3月8日(米国時間)、英ARMのアーキテクチャに基づくプロセッサを搭載する「ARMサーバー」を採用したと発表した。米Qualcommや米Caviumなどのサーバー用ARMプロセッサを利用。「Windows Server」をARMプロセッサに移植して検証を開始した。

 1990年代から2000年代初期にかけて「Wintel」と呼ばれるほど米Intelとの関係が深かったMicrosoftによるARMサーバーの採用は、IT業界に大きなインパクトを与えそうだ。ARMのサーバーシステム担当シニアディレクターのCasey Axe氏は同社の公式ブログで「(MicrosoftによるARMサーバーの採用は)サーバー市場における競争を加速させる可能性がある」と強調した。

 MicrosoftはARMサーバーの採用を、同日に米シリコンバレーで開催されたイベント「OCP Summit 2017」で発表した。米Open Compute Project(OCP)は、サーバーなどのハードウエアの仕様をオープンソースとして公開する団体だ。ARMプロセッサは、Microsoftが自社開発してOCPで仕様を公開したサーバー「Project Olympus」に搭載できると発表している。

 MicrosoftはARMサーバーの性能などを検証するために、「Windows Server」をARMプロセッサ向けに移植した。ARM版Windows Serverは社内検証用であり、まだ外部に公開していない。「Microsoft Azure」部門のDistinguished EngineerであるLeendert van Doorn氏は同社のブログで、「Microsoftのクラウドサービスにおいて、ARMサーバーを実際に展開する計画がある」と明言している。

 Microsoftが検証しているQualcomm製ARMプロセッサの名称は「Centriq 2400」で、プロセッサの製造プロセスは「10nm」、プロセッサコアを48個搭載する(写真)。Qualcomm製ARMプロセッサを搭載するサーバー用マザーボードは、Microsoftが開発したOCP仕様のサーバーであるProject Olympusに搭載できる。

写真●ARMプロセッサを搭載するサーバー
出典:米Microsoft
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 Cavium製ARMプロセッサの名称は「ThunderX2」。Cavium製ARMプロセッサを搭載するサーバーは、台湾のサーバーメーカーであるInventecが製品化する予定。

検索やビッグデータなどで効果を見込む

 Doorn氏はブログで、ARMサーバーは「当社のクラウドサービス、特に検索やインデックス生成、ストレージ、データベース、ビッグデータ、機械学習といった社内でのクラウドアプリケーションに有用だ」とした。

 MicrosoftがARMサーバーに着目したのは、半導体の集積度が約2年で倍増する「ムーアの法則」が終焉を迎えようとする中で、ハイエンドスマートフォン向けに大きな需要があるARMプロセッサ市場だけはプロセッサメーカーの数が増え、「サーバーの選択肢の『カンブリア爆発』が起きている」(Doorn氏)からだという。

 Doorn氏はARMサーバーに期待する点として、(1)様々なプロセッサメーカーによるサーバー用ARMプロセッサの開発が盛んで、プロセッサコアやスレッド数、キャッシュメモリー、アクセラレーターなどの選択肢が増えていること、(2)ARMプロセッサに関連するソフトウエアエコシステムが既に存在していること、(3)ARMプロセッサの命令セットアーキテクチャ(ISA)が、アウト・オブ・オーダー実行などの採用によって改善が見込まれること、などを挙げている。