「従業員の平均年収を100万円アップさせる」。こう話すのは、ワークマンの土屋哲雄常務取締役だ。2017年1月27日、目黒雅叙園(東京・目黒)で開催した「第6回イノベーターズ会議」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演した。題目は「データ経営によるビジネス変革への挑戦」。

ワークマンの土屋哲雄常務取締役
(撮影:井上 裕康)
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 ワークマンは作業服や作業関連用品を販売する専門店をチェーン展開する。2016年3月末時点で全国に766店舗、全店の売上高は2016年3月期で714億円だ。

 土屋氏は「作業服や関連用品の市場ではトップシェアを自負している。しかし、市場自体は成熟が見えてきた」と話す。人口に対する出店数の割合を見積もったところ、展開できるのは1000店舗が限界だという。「新しい業態などへ挑戦する必要が出てくる」(土屋氏)。

 そこで2014年から2019年にかけて打ち出した中期経営計画では、データ分析やデザイン思考などを意識して事業拡大に取り組んでいる。顧客へのサービス価値や生産性を向上させる。それらの実現によって得られた利益を、従業員に還元するというわけだ。「平均年収を5年間で100万円アップさせる計画は、1年や2年遅れたとしても必ず達成させたい」(同)。

 同社が取り組むデータ経営は、高度な統計解析などのスキルを従業員に身に付けさせることが目標ではない。「従業員全員がExcel関数などに慣れることから始める。営業の現場などで記録されるデータを自ら可視化できるようになることが狙い」と土屋氏は話した。一方で、高度な分析スキルを持った専任チームも組織し、データ経営の企業風土を育てる必要性も訴えた。

 効果は出始めている。店長クラスの従業員がデータ分析の結果を基に品ぞろえを計画したり、欠品率の減少に成功したりといった具合だ。従業員が分析ツールをどれくらい使用しているかの頻度も可視化。土屋氏は「ITはシステムの完成度よりも、使用頻度が高いことを重視している。使ってもらうことが目的だからだ」と締めくくった。