「番組の進行上極めて重要なシステムで、芸人の運命も変えかねない」「5年ぶりの放送のため、どれくらいの投票があるか事前に読みにくかった」「開発期間が1カ月強しかない中、社員2人で開発から運用までを担った」

 朝日放送 技術局 開発部の小南英司氏は、お笑い番組「M-1グランプリ2015」を支えた敗者復活戦投票システムの取り組みについてこう説明した。小南氏はアマゾン ウェブ サービス ジャパンが2016年11月22日に開催した地方企業向けのクラウド活性化イベント「AWS Cloud Roadshow 2016 大阪」で、同システムにおけるAmazon Web Services(AWS)の活用体験を語った。

朝日放送 技術局 開発部の小南英司氏
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 M-1グランプリは吉本興業が主催する漫才コンテストのテレビ番組で、朝日放送が制作している。2001年から2010年まで毎年12月に開催されており、2015年に5年ぶりに復活した。予選を勝ち抜いた8組に加え、敗者復活1組の合計9組が決勝戦に出場する。今回紹介した敗者復活戦投票システムは、視聴者投票によって敗者復活のコンビを決める重要なシステムだ。

 同システムは従来、オンプレミス(自社所有)環境で稼働していた。小南氏は「5年ぶりの復活で注目度が高く、どれくらいの投票があるのか予想しづらかった。サーバーのリソースが限られるオンプレミス環境では、投票データを処理しきれない可能性があった」と振り返る。打開策としたのがAWSの活用だ。

 開発期間が1カ月強と限られていたことから、AWSが性能増強などの運用を担うマネージドサービスを中心としたアーキテクチャーにした。「マネージドサービスの活用によって開発に集中できた。社員2人で、システム構築から当日の運用までこなせた」(小南氏)と効果を語る。投票の受け付けにはストリーミング処理の「Amazon Kinesis」、データベースはNoSQLの「Amazon DynamoDB」を利用している。

敗者復活戦投票システムの概要
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 安定運用を実現するため、事前にテストツールを使った負荷テストを重ねた。「過去の経験などから投票数を20万件と見積もり、それ以上の負荷が来ても耐えられるアーキテクチャーにした」と同氏は語る。

 「番組に与える影響が甚大なシステムで、1秒も止められない」(小南氏)ことから、AWSの東京リージョン(データセンター群)に加え、米バージニア北部のリージョンにバックアップシステムを構築。同リージョンを選んだ理由については「バージニア州はAWSの創業の地でリソースが豊富だから」(同)と述べた。

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