日立製作所は2016年10月25日、電力や鉄道事業の制御システムや機器を設計、製造する大みか事業所(茨城県日立市)で、IoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用した生産モデルを確立したと発表した。RFID(無線IDタグ)を使って、生産ラインの部品や作業担当者の動きを把握し、改善に役立てる。使用しているRFIDは約8万個。製品を受注してから出荷するまでのリードタイムを約5割短縮した。

 大みか事業所で確立した生産モデルは、日立製作所が2016年5月からグループ内で提供しているIoTプラットフォーム「Lumada」に取り込む。生産モデルでは、RFIDを使った「RFID生産監視システム」を含め、主に4つのシステムを使っている。これらのシステムの機能を基に、パッケージソフトとして開発して外販する。2017年度にLumadaのソリューションとして提供開始する。

日立製作所のIoTプラットフォーム「Lumada」を紹介する同社のWebサイト
(出所:日立製作所)
[画像のクリックで拡大表示]

 日立製作所は、鉄道や電力事業などで得られたIoTの成功モデル「ソリューションコア」を外販するために、グループ内での検証を加速させている。大みか事業所で確立した生産モデルは、日立製作所が外部に発表した初めてのソリューションコアだ。

 「Lumadaのソリューションの顧客として想定しているのは、組み立て製造業でも特に多品種少量生産の工場だ」。日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 経営戦略本部の北川央樹 担当本部長はこう話す。大みか事業所は1カ月に約300種類の製品を製造しており、そのほとんどが1つずつ組み立てる「1個流し生産」だという。

 日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 大みか事業所 制御プラットフォーム統括本部 生産統括本部の大津英司 担当本部長は「約180日かけて製造していた製品を約90日で製造できるようになった」と説明する。内訳は、設計に必要な時間が約2割、資材調達が約2割、製造が約1割だという。

 RFIDは、生産ラインを流れる部品や作業指示書などに取り付ける。板金や塗装、組み立て、配線といった工程の作業時間を調べる。収集したデータを基に、作業時間が長すぎる工程に対しては、作業量が多いと判定して担当者の人員数を増やす。「人員を再配置して、ボトルネックとなる工程を減らす」(北川担当本部長)。

 RFID生産監視システムのほかに、作業担当者の作業手順を分析する「作業改善支援システム」、多品種少量生産における製品設計を支援する「モジュラー設計システム」、生産計画の管理に必要な工数を削減する「工場シミュレーター」を使っている。これらのシステムは、基本的に内製で開発した。2017年度には、まず工場シミュレーターの機能を基にしたパッケージソフトを外販するという。