約730人の聴講者が集った「FACTORY 2016 Fall」のオープニングセッション
約730人の聴講者が集った「FACTORY 2016 Fall」のオープニングセッション
トヨタ自動車とセコムが講演した。
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 IoT(Internet of Things)は人の成長を加速し、人の力を増幅するものである――。2016年10月19日、デジタル技術によるものづくり革新をテーマにしたイベント「FACTORY 2016 Fall」(東京ビッグサイト)が開幕。約730人の聴講者が集ったオープニングセッションは「トヨタとセコムが描くデジタルビジネスの未来」と題し、トヨタ自動車およびセコムによる講演と、日経BP社の記者による公開取材が行われた。IoTなどデジタル技術を活用する目的として両社に共通するキーワードは“人”。トヨタ自動車は「人を育てる」、セコムは「人の力を増幅」を中心に据える。

トヨタ生産方式といかに融合させるか

 トヨタ自動車の未来創生センター統括でMid-size Vehicle Company 常務理事の磯部利行 氏は「トヨタ自動車が考えるIoT工場の将来」と題して講演した。商品力の向上と原価低減を同時に達成する開発の考え方「TNGA(Toyota New Global Architecture)」などについて紹介し、同社が考える「工場におけるIoT活用」を事例とともに解説した。

 興味深かったのは、IoT活用の本題に入る前にトヨタ生産方式について時間を割いたことだ。「IoTとトヨタ生産方式をいかに融合するか」(磯部氏)。「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」というトヨタ生産方式の2本柱を具体的な例を交えて説明すると同時に、それぞれの活動が「人を育てること」につながることを強調。「日本企業が得意とする作業者主体の現場改善にIoTを活用する」(同氏)という姿を示した。

 現在、生産現場での課題としては、近年の生産(ニーズ)の多様化によって「ムダの見極めが難しくなっており、同時にやらなければならない改善が増加している」(同氏)という。このような課題を解決するために取り組んでいるIoT活用事例をとして3つを紹介した。人が主体のエリアにおける改善の加速を目的とした2事例と、自動化が進んだエリアにおける品質の向上を目的とした1事例だ。前者では「作業実績と時々刻々の変化の視える化」が、後者では「兆候管理と加工点の視える化」がポイントとなる。

 例えば、改善の加速を目的としたIoT活用事例として、部品順立て工程ピッキング作業を紹介。部品の取り出し指示や誤品チェックをシステムで支援するだけでなく、作業時間の実績などを自動計測してグラフ化。使いやすい位置に頻繁に使用する棚を移動するなど、部品棚の配置を改善する際に役立てている。

 改善の加速を目的としたIoT活用事例のもう1つは、順立てに対応した部品運搬作業の改善だ。タブレット端末と音声を使った荷下ろし指示と作業完了入力を行い、計画と実績が自動的にグラフ化される。また、品質の向上を目的としたIoT活用事例としては、プレス加工における不良品を未然に防ぐ取り組みを紹介した。加工条件などによって「ppmオーダー」(同氏)で偶発的に発生する「1枚ワレ」を対象とし、板厚や動摩擦係数を測定してプレス成形前に判定する仕組みだ。ここでも、データに基づいた考察・解析に基づいて素材や設備を改良するというサイクルを通じた人の育成を視野に入れる。

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