東京ビッグサイトで2016年10月19日から21日まで開催されている「ITpro EXPO 2016」で、米PTCの日本法人であるPTCジャパン執行役員の成田裕次氏は、AR(拡張現実)技術とIoTを組み合わせる最新事例を紹介した。

ARとIoTの連携により、ARの可能性が広がることを説明するPTCジャパン執行役員の成田裕次氏
(撮影:菊池 一郎、以下同じ)
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 製品の設計や製造、マーケティング、運転・操作学習、保守点検などでAR技術を活用する事例が増えているほか、ARとIoTの連携が急速に進んでいることから、「ARは実務に利用できる段階まで達した」と語る。同社のAR技術の事例を紹介しながら、AR技術の可能性を探った。

 ARは現実の空間にコンピュータ上で構築した3次元モデルを投影する技術だ。ゴーグルに映像を投影することで体験型のゲームを開発したり、自動車の販売店で製品のイメージを映し出してマーケティングに利用したりといった用途がある。

 最近は、実際の対象物に操作情報や保守点検方法を映像として重ね合わせることで、作業の学習・効率化といった用途にも使われ始めている。例えば、生産ライン上で流れてくる製品の映像を見ながら作業手順を確認したり、故障した機械の修理方法をスマホやゴーグル越しに投影したりといった活用が進んでいる。

 成田氏はIoTが普及している現状から、今後はセンサーデータをARの3次元モデルに反映することで、より実務的な活用が可能になるとした。対象物の温度や湿度、燃料や電池の残量、その他さまざまなデータを3次元モデルへ映し出すことで、対象物の見える化や作業の効率化や改善が図れる。例えば、機械の故障原因を予測して、それに合わせた作業マニュアルを投影する方法などが考えられる。

 しかし、それを実現するにはセンサーデータを収集・解析する仕組みや3次元モデルを容易に作成・変更する開発環境、データを映像に円滑に反映させるための互換性などが必要だ。成田氏はこれらの条件を満たす統合プラットフォームとして、PTCの「ThingWorx」を紹介した。

講演の様子
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 PTCはARやIoT向けシステムを複数有しており、それらを連携させることで、ARとIoTの融合やデータ処理を実現しているという。同社のThingWorxは共通基盤上で、ビッグデータの機械学習から予測分析する「thingworx analytics」や、3次元モデルのSDK(ソフトウエア開発キット)である「vuforia」、アプリケーションのハブやデバイス管理を担う「thingworx utilities」など複数の機能を連携している。これにより、ARとIoTを組み合わせたサービスを提供できるのだという。こうしたThingWorxの特徴から、同社はAR市場シェアトップの約3割を占めている。

 講演の最後に成田氏は、PTCの提供する具体的なサービスとして、「エンジニアリング」や「マニュファクチャリング」「サービス」を紹介した。エンジニアリングでは、データを活用した設計や定常的な分析などを想定する。マニュファクチャリングでは、現実に則した作業マニュアルや、イノベーションを支援する開発環境の提供。サービスでは遠隔からの保守点検情報の提供や定量化可能なリスク評価の提供などが可能とした。