「企業のビジネスや情報システムを構築する前に、まずは全体の見取り図となるアーキテクチャーを作っておくことが重要だ。アーキテクチャーがないと、保守に多大なコストがかかるほか、新たなビジネスへと変わることができない」――。

 2016年10月19日、東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2016」において、「ビジネスモデル革命はアーキテクチャーから」と題して、EA(エンタープライズアーキテクチャー)の生みの親であるジョン・ザックマン氏が講演した。

米ザックマン・インターナショナル ファウンダーのジョン・ザックマン氏
(撮影:中村 宏、以下同じ)
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 ザックマン氏は冒頭、「エンタープライズ(企業、および企業を支える情報システム)が生き残れるかどうかは、アーキテクチャーがあるかどうか、建物の構造を知識として理解しているかどうか、にかかっている」と指摘した。

講演の様子
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 アーキテクチャーがあれば企業を変えられるが、アーキテクチャーがなければ企業を変えることはできないという。「飛行機も建物も同じ。これらを変えるには、アーキテクチャーをまず変える。アーキテクチャーがないなら、リバースエンジニアリングが必要になる。もしアーキテクチャーを見出せなければ、対象物そのものを失う」(ザックマン氏)。

 アーキテクチャーを記述できないなら、対象物を作ることはできないのだ、とザックマン氏は強調する。「飛行機のアーキテクチャーが分からなければ、船でやってくるしかない。自動車が分からなければ馬に乗るしかない。コンピュータが分からなければワイヤーにドーナツを並べて計算するしかない」(ザックマン氏)。

 工業化時代は、すべてのモノを作るのにアーキテクチャーが必要だったという。これに対応するように、情報化時代は、エンタープライズの成功のためにアーキテクチャーが必要になる。アーキテクチャーを変化させれば、新たなビジネスを始めたり、規制要件に対応したりと、エンタープライズを変化させることができるようになる。

 全体を見ると複雑なものでも、これを分類してサンプルサイズを縮小していけば複雑さが排除されて簡単に扱えるようになる、とザックマン氏は言う。ピースを小さくすると、より安価に、より早く作れるようになる。アーキテクチャーがあれば、ピースを組み合わせて全体を作ることができる。アーキテクチャーが無かったら、ピースだけあっても組み立てられない。

 情報システムを15分止めれば企業活動が止まるので、情報システムは企業にとって重要な存在である。しかし、「我々はずっとエンタープライズのパーツを製造してきたが、パーツがうまく組み合わせられない状況にある」とザックマン氏は警告する。解決方法としては、「スクラップにして最初からやり直すしかない」とザックマン氏は言う。「パーツを組み合わせられるようにしてからコードを書くべきだ」(ザックマン氏)。

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