クラウディアンは2016年10月13日、電通などと共同で実施した人工知能(AI)を活用した屋外でのターゲティング広告配信実験に関する記者説明会を開催した。東京・六本木の首都高3号線を走行中の車をビデオカメラで捉え、瞬時にターゲットとなる広告対象車かどうかを判別。ビルに設置した広告配信用ボードの屋外広告を自動的に切り替える。

300メートル先のビルボードにカメラを設置し、車種を判断。ターゲット車種と判断した場合に10秒間広告を切り替える。今後は速度に応じて表示時間を変更する検討もするという
(撮影:林 徹、以下同じ)
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 説明会には、クラウディアンの代表取締役CEOの太田 洋氏、同社 R&D プリシンパル ソフトウェア エンジニアの佐藤 剛宣氏、電通 アウト・オブ・ホーム・メディア局業務統括部 部長の神内 一郎氏が出席。2016年9月10日と10月17日の2日間の配信実験について説明した。

クラウディアン代表取締役CEOの太田 洋氏
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クラウディアン R&D プリシンパル ソフトウェア エンジニアの佐藤 剛宣氏
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電通 アウト・オブ・ホーム・メディア局 業務統括部 部長の神内 一郎氏
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 冒頭、クラウディアンの太田氏は「IoTの進展にともない、今後、ビッグデータの効果的な活用がますます重要になる。そのためには、人手ではなくAIを活用したディープラーニングによりデータをタグ付けし、『スマートデータ化』する取り組みも必用。今回の実証実験への参加も、そこに向けた取り組みの一環だ」と経緯を説明した。

 実証実験ではまず、高級車やファミリーカーなど300車種以上、約5000枚もの画像データを用意し、ディープラーニングのフレームワークである「Cafe」で構築したシステムに学習させた。学習には、2~3カ月を要したという。

ディープラーニングシステムの全体像。データを事前学習することで迅速な判断を実現
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 次にその学習結果を基に、ビデオカメラで撮影した車の映像を瞬時に分析。広告対象車かどうかを判別し、広告対象車であればビルボードの広告映像を切り替えて配信した。膨大な学習用データやビデオカメラで撮影した走行車種の大量映像の保存には、クラウディアンのストレージ「CLOUDIAN HyperStore」を使用。広告配信は電通が担当した。

 デジタルサイネージなどを使った屋外広告はターゲティング広告に不向きとされ、事前に決められたスケジュールで広告を配信するのが一般的だった。クラウディアンの佐藤氏は、「AIを活用すると、道路広告でもターゲティングが可能になる。さらにディープラーニングの活用により、広告対象車かどうかに加えて、メーカー、車種、年式も確認できると分かった」と効果を解説した。

 リアルタイムでの判別ができることから、高速道路における走行車両の捕捉・追跡などにも応用できるという。さらに、道路の通行状況に最適化した内容を、タイミングよく広告として表示させることも可能となる。「今後は、商用に向けた検討を進める」(佐藤氏)という。

高速道路でも、メーカー、車種、年式判定が1秒以内で可能とする
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