内閣府総合科学技術・イノベーション会議は2016年10月4日、「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)シンポジウム2016」を開催した。シンポジウムでは、自動運転の実現に必要となる自動走行システムの開発が話題となった。自動運転では車両側の開発だけでなく、周辺環境を認識するためにインフラ側のセンサー情報や高精度な3次元地図(ダイナミックマップ)データなどが必要になる。シンポジウムでは、膨大な交通情報を処理するためにAI(人工知能)技術を活用する構想も紹介された。

自動運転実現に向けた「ダイナミックマップ」の構築
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 SIP自動走行システムのプログラムディレクターであるトヨタ自動車CSTO補佐の葛巻清吾氏は、ダイナミックマップ活用に向けたロードマップを紹介。2017年度に計画している自動運転の大規模実証実験に向けて、SIPではダイナミックマップを活用する仕組みづくりを進めているとした。具体的には、「地図データを蓄積・配信するデータセンター(プロトタイプ)の設立や、自動車専用道路や一般道などの計200~300kmにおよぶダイナミックマップの作成」(内閣府SIP自動走行システム担当政策調査員の竹馬真樹氏)などだ。2017年の実証実験では、ダイナミックマップを車両側で受信して利用できるかを確認するという。

SIP自動走行システムのプログラムディレクターであるトヨタ自動車CSTO補佐の葛巻清吾氏
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 内閣府は2020年までに、車線変更や複数車線での分岐・合流を自動化する簡易的な自動運転を実現する計画だ。そのためには、ダイナミックマップや交通情報を組み合わせて、高度なデジタルインフラを構築する必要がある。膨大なデータの中から車や歩行者といった無数の対象を特定する作業が必要になるため、葛巻氏はAI技術を利用する可能性を示す。画像中の対象物を見つけ、精度良く分類するにはディープラーニング(深層学習)のような技術が有効とみられるためだ。

 会場内のデモ展示場では、AI活用を視野に入れたセンサー機器を紹介した。パナソニックが開発するミリ波レーダーでは、対象物をより細かく正確に分類できるように、ディープラーニングのようなAIの活用を検討している。同センサーは電柱などに取り付けて、横断歩道上の対象物を識別する用途に使う。現在は、「人」と「車」といったように単純な分類しかできないが、AI技術を使って将来的には「人」や「バイク」「小型車」「大型車」といった細かい分類の実現を目指す。

横断歩道上の対象物を識別するパナソニックのミリ波レーダー(レーダーの測定結果は右側のグラフ)
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