米Salesforce.comは2016年9月19日(米国時間)、機械学習プラットフォーム「Einstein」を発表した。同社が買収した9社の機械学習サービスを統合してPaaS(Platform as a Service)として提供するほか、CRM(顧客関係管理)などのSaaS(Software as a Service)に組み込んで提供する。

 Salesforceは2013年以来、機械学習やディープラーニング(深層学習)を使って開発したサービスを提供するスタートアップを9社買収し、買収を通じて175人のデータサイエンティストを迎え入れてきたという()。

表●米Salesforce.comが買収した機械学習サービス企業
企業名サービス内容発表時期
BeyondCoreデータディスカバリー2016年8月
Coolanデータセンター向けデータ分析2016年7月
EdgeSpringデータ分析2013年6月
Implisit営業担当者向けBI(Business Intelligence)2016年5月
MetaMindディープラーニングベースの画像認識など2016年4月
MinHash質問応答システム用の検索エンジン2015年12月
PredictionIO機械学習プラットフォーム2016年2月
RelateIQ企業と顧客との関係分析2014年7月
TempoAIがスケジュールを調整するカレンダー2015年6月

 買収したサービスの中には「SalesforceIQ」(「RelateIQ」がベース)など、既にSalesforceのサービスとして提供が始まっているものもあるが、同社は今回改めて機械学習/AI(人工知能)関連のサービスを「Einstein」の名称に統合。Einsteinを、SalesforceのさまざまなSaaSやPaaSの基盤となる「AIプラットフォームサービス」として定義した(図1)。

図1●Salesforceにおける「Einstein」の位置付け
出典:米Salesforce.com
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 今後は「Sales Cloud」や「Commerce Cloud」「Service Cloud」「Marketing Cloud」「Analytics Cloud」などのSaaSや「App Cloud」や「IoT Cloud」などのPaaSに、Einsteinの名称を持つ機械学習ベースのサービスを追加する(図2)。

図2●「Einstein」の名称で提供する各種サービス
出典:米Salesforce.com
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 例えばSales Cloudであれば、見込み客の「有望度」を機械学習ベースのアルゴリズムが予測する「Predictive Lead Scoring」や、営業担当者に顧客とのやり取りがうまくいっているかどうかを指摘する「Opportunity Insights」などの機能を提供する。

 現在はApp Cloudの中の一つのサービスと位置付けているPaaSの「Heroku」では、「Spark」上で動作する機械学習プラットフォームである「PredictionIO」の機能を追加するほか、「MetaMind」が提供していたディープラーニングベースの画像認識機能などを追加する。

 SalesforceはEinsteinの発表に合わせて、同社内にAI研究所「Salesforce Research」を設立すると発表した。研究所のトップには、Salesforceが買収したMetaMindのCEO(最高経営責任者)兼CTO(最高技術責任者)を務めていたRichard Socher氏が就任。Socher氏が手がけてきたディープラーニングを使った画像認識技術や自然言語処理技術の研究開発を加速するとしている。