インターネットイニシアティブ(IIJ)は2016年8月30日、SIMカード管理データベースHLR/HSSを独自に運用する「フルMVNO」の商用サービスを2017年度下期に開始すると発表した。これにより、自社で多様なタイプのSIMカードを調達・発行し、NTTドコモなどの携帯電話事業者(MNO)に依存しない自由なサービス開発が可能になるという。

 HLR/HSSは、SIMカードに記録される様々なID番号などを管理するデータベース。これまではMNOだけが運用していた。このため、MVNO各社はMNOの発行するSIMカードを借りる形でサービスを提供してきた。IIJは8月29日、NTTドコモに対してHLR/HSS連携に関する申し込みを完了し、その承諾書を受領した。これにより独自にHLR/HSSを運用できるようになった。

写真1●IIJ 代表取締役会長 CEOの鈴木幸一氏(右)、同社 取締役 CTOの島上純一氏
[画像のクリックで拡大表示]

 IIJ 代表取締役会長 CEOの鈴木幸一氏は記者発表会の冒頭、「インフラを持っている事業者が参入してきたらどうするのかと、インターネット事業を始めた頃にも危惧された。(インフラを持たない)我々がワイヤレスで新しい形のR&Dやサービスを将来にわたって作っていけるのか、長い間考えてきた。ようやくこういった形でみなさんにお見せできるところまできた」と述べた(写真1)。

 同社 取締役 CTOの島上純一氏はフルMVNOへの取り組みについて説明した。同氏はフルMVNOによって、IoT時代に求められる多様な形態のSIMカードの提供が可能になるとした(写真2)。例えば、SIMを部品として装置に組み込む、1枚のSIMカードで国内外のサービスに対応する、NFCやFinTech、マイナンバー連携などに活用する、といった新サービスが実現できるという。

写真2●IoT時代に求められる多様なSIMカード形態
[画像のクリックで拡大表示]

 質疑応答で島上氏は、この取り組みのきっかけとして「SIMを部品に組み込みたい」「海外に持っていきたい」といった法人顧客からの要望が大きかったとした。フルMVNOのための投資額について鈴木氏は「数十億円規模になる。新しいビジネスチャンスで十分に回収できると考えている」と述べた。