写真1●発表会の登壇者
左から、豊橋技術科学大学 情報メディア基盤センター センター長の井佐原均教授、同大学の原邦彦副学長、日本マイクロソフト 執行役 CTOの榊原彰氏、ブロードバンドタワーの藤原洋代表取締役会長兼社長、エーアイスクエアの石田正樹代表取締役、日本マイクロソフト 技術統括室 業務執行役員 NTOの田丸健三郎氏
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写真2●3者が協力して翻訳サービスを開発する
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写真3●日本語で書かれた旅館のWebサイトをリアルタイムに英語に翻訳するデモ
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 豊橋技術科学大学、日本マイクロソフト、ブロードバンドタワーは2016年6月21日、AI(人工知能)や機械学習を使った多言語翻訳技術を共同で開発すると発表した(写真1)。インバウンド(訪日外国人)が必要とする観光や医療、災害の情報をリアルタイムに翻訳するサービスを、2019年をめどに開発/提供する。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックでの多言語コミュニケーションの実現を目指す。

 翻訳エンジンや機械学習技術には、主にマイクロソフトの技術を活用する(写真2)。豊橋技術科学大学は、「対訳コーパス」などと呼ぶ日本語とその外国語訳がセットになったデータ群の構築を主に担当する。様々な自治体や企業と連携してデータを収集し、匿名化や分野ごとの重要語句の抽出、辞書化を行う。こうした大規模データを管理/活用するための基盤としては、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」を利用する。

 ブロードバンドタワーは、2015年に設立した子会社エーアイスクエアでAI関連技術を開発している。同社技術や、豊橋技術科学大学が構築する対訳コーパス、マイクロソフトの自然言語処理技術などを組み合わせてサービス化。観光業界をはじめ、インバンド向けの事業を手掛ける企業を中心に売り込む。観光や医療といった分野ごとに辞書を用意し、その領域に特化したサービスを提供することで、精度の高い翻訳を実現できるという。

 3者協業で開発した技術を、Microsoft Azureのオンラインストア「Microsoft Azure Marketplace」でAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)として公開するといった可能性もある。「ほかのソフトウエアを開発する人でも、クリックするだけで使い始められるようになる」(日本マイクロソフト 執行役 CTO 榊原彰氏)。

 多言語翻訳技術をめぐっては、情報通信研究機構(NICT)が企業と協業しながら自動翻訳エンジンの開発を進めるなど、2020年を見据えて動きが活発化している(関連記事:「オリンピックで機械翻訳」目指し、ドコモやパナソニック、ソフトバンクが本腰)。今回の3者協業では、マイクロソフトの翻訳エンジンが50言語と多くの言語に対応している、豊橋技術科学大学が大学としての公共性を生かして幅広いデータを収集できる、集めたデータをクラウドサービスの活用によって継続的に学習し、精度向上できるといった優位点があると説明した。

 発表会では、日本語のWebページを多言語に自動翻訳するなどのデモも実施。リアルタイムに翻訳を実施するため、ページの一部を編集してもそれが翻訳ページにもすぐに反映されるといった様子を披露した(写真3)。