楽天で「楽天市場」事業を担当した経験を持つ大城社長
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コナミの「メタルギア」シリーズなど数多くのゲーム音楽製作を手掛けた村中CEO
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仮想空間の店内を歩ける
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 ベンチャー企業のKABUKIは2016年5月10日、日本の個人や企業が海外の消費者に商品を販売する越境EC(電子商取引)の新サービスを始めた。仮想現実(VR)の技術を使って日本の商店や商品を仮想空間に再現。海外の消費者が現地にいながら日本で買い物をする体験を提供し、購買につなげる。VRのほかブログ記事や動画といったコンテンツを充実させて消費者の隠れた需要を喚起する、コンテンツ主導型の越境ECモール(仮想商店街)を目指す。

 サービス名称は「kabukiペディア」。複数のECサイトが集まったECモールで、ECサイト事業者は無料で出店できる。主に訪日中国人を対象に、中国語(繁体字、簡体字)、英語などを利用可能にする。

 VRによる仮想ショッピングサービスは2017年春にも始める。VRはゲームや遊園地といった娯楽用途から住宅の仮想体験などビジネス用途に広がりつつあるが、ECへの応用は珍しい。

 ECにVRを採用する狙いは「日本に来なくても日本で買い物できるかのような体験を提供する」(開発を担当するRND Entertainmentの村中りかCEO)ことだ。消費者は専用のアプリをダウンロードしたスマートフォンと、スマホを取り付けるタイプのVR装置である「Samsung GearVR」を使う。東京・渋谷に実在するショッピングモールを再現してウインドーショッピングを疑似体験する、といった利用法を想定する。

 仮想空間内には実際の商品を並べ、近づいて質感を確かめたりECサイトに移動して購入したりできる。「VRによる体験が深いほど、商品の購入につながるはず。見たこともないものが目の前にあるという喜びや驚きの体験を提供して、購買意欲を高める」(KABUKIの大城浩司社長)。

 VRをはじめとするコンテンツを段階的に充実させる。サービス開始当初は、ネット記事を主体に掲載する。ECサイトの商品紹介のほか、日本の文化や観光、流行の話題や食など、「インバウンド(訪日外国人)が興味を持ちそうな内容の記事をそろえる」(大城社長)。

 VRによるショッピング体験や記事コンテンツで同社が期待するのは、インバウンドの増加と越境ECの利用促進を連動させることだ。「中国のECモールへ日本企業が出品しても、最初から買ってもらうのは難しい。大量の広告宣伝費を投入するのも非効率。インバウンド向けコンテンツで訪日を促し、潜在的な需要を掘り起こして帰国後に越境ECで購買につなげる」(大城社長)。