全国で電力の需給を調整する「電力広域的運営推進機関(広域機関)」は2016年4月22日、4月1日に始まった電力小売りの全面自由化に伴うシステムトラブルなどについて、報道関係者向けに説明会を開いた。広域機関が開発、運営する「広域機関システム」の一部機能の開発遅延や、3月31日に発生した日本卸電力取引所(JEPX)との通信の不具合などについて説明した。広域機関の金本良嗣 理事長は「電力システムの核となる広域機関は確実な業務遂行を求められているのに、不十分なところがあった。重く受け止めている」と謝罪した(写真)。

写真●広域機関の金本理事長は「電力システム革命の核となる広域機関は確実な業務遂行を求められているのに、不十分だった。重く受け止めている」と謝罪した。写真左から1番めが内藤理事、2番めが金本理事長
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 広域機関システムは、小売事業者や発電事業者が策定した発電や需要などの計画を管理するほか、全国の需給バランスを監視するなどの機能を持つ。2016年4月1日に運用開始したが、前日の3月31日午後10時ごろにJPEXとの通信に不具合が発生したほか、機能の一部が運用開始できていないなどの問題を抱えている。

 説明会に臨んだ広域機関の内藤淳一理事は、システムトラブルや一部機能の開発遅延の原因について「工期が不十分だった」と説明した。

 広域機関が設立されたのは2015年4月1日。システムの仕様については「前身となる準備組合から検討を進めてきたものの、発注時点までに仕様を詰め切れていなかった。開発を進めながら詳細を決める、走りながら考える、というような状況だった」(内藤理事)とした。

 開発が遅延しているのは、電力各社が電力をやり取りする「地域間連系線」を管理する機能の一部。広域機関によれば、同機能については最終テストを実施しており、4月28日から機能を順次、運用開始する予定。「1カ月以内に、全ての機能を運用開始したい」(内藤理事)。

 JPEXとの通信機能に関する不具合の原因について内藤理事は、広域機関システムのプログラムのミスだと説明した。4月1日午前6時21分に解消するまで、JPEXの「時間前市場」の取引が約8時間停止した。

 このほか、発電契約者と小売事業者の合計160社(4月1日時点)が策定した発電や需要などの計画データのうち「最大7割が誤ったデータ」(内藤理事)のまま、一般送配電事業者に送信されたことも明らかにした。誤ったデータは、4月1日から4日の間に送信したもの。

 原因は、広域機関システムによるチェックもれ。発電契約者と小売事業者から提出されたデータのうち、最終的に確定されたものではないデータを、システムでチェックせずに送信した。既に正確なデータを送信し直したという。

 広域機関は一連のシステムトラブルについて「電力の安定供給や、需要家が自由に小売り事業者を選べることなどに影響はない」とする。「ただし、開発遅延などの事態が長引くと影響が発生する」(金本理事)という。