写真●三菱UFJフィナンシャル・グループと三菱東京UFJ銀行が入居するビル
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 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三菱東京UFJ銀行は2016年1月8日、FinTechを推進するための新組織「イノベーション・ラボ」を発足した(写真)。要員は約20人で、東京と米国シリコンバレーの2拠点体制とする。「今までのサービスとは一線を画する新事業の開発に専念する」と、MUFG経営企画部企画グループの鎌田克志上席調査役は語る。

 FinTechで先行する米国では、ロボ・アドバイザーやP2P(ピア・ツー・ピア)レンディングなど、既存金融機関が手掛けてこなかった金融サービスが進んでいる。イノベーション・ラボは、こうした領域の新事業開発を担うとみられる。専任メンバーのほか、グループの商業銀行をはじめ、証券会社や信託銀行などから出向者、兼務者を集める予定だ。

 MUFGはこれまでもFinTechを推進する体制を整えてきた。2015年7月には、グループのFinTech施策を担う組織としてデジタルイノベーション推進部を発足。アクセラレータプログラムやハッカソンイベントといったオープンイノベーションなどを意欲的に推進してきた。今回、FinTech施策のさらなる深化を目指し、新組織を設置した格好だ。

 イノベーション・ラボは、デジタルイノベーション推進部と経営企画部が共同で所管する組織としてしている。「FinTechは技術面だけでなく、ビジネスモデルの観点でのイノベーションも欠かせない」(鎌田上席調査役)。そこで、技術的バックグランドの強いデジタルイノベーション推進部と新規ビジネスの立案、発足の経験が豊富な経営企画との共管という位置づけにした。

 既存組織であるデジタルイノベーション推進部は、FinTechの動向調査やオープンイノベーションをはじめとしたネットワーク構築、さらに事業部門の手掛ける既存金融サービスのイノベーションを目指す。オープンイノベーション施策である「Fintech Challenge」やR3 CEVが主催するブロックチェーンコンソーシアムへの対応は、引き続き同推進部が担う予定だ。

 新設したイノベーション・ラボは、デジタルイノベーション推進部と連携しながらも、既存サービスとは一線を画するサービスや事業開発に専念する。事業部門やグループ会社のサービスとカニバリズム(共食い)を起こすおそれもあるが、検討の可能性を排除しないために独立性を高める。

 メンバーは東京のスタートアップ企業支援施設に入居し、就業形態も柔軟にするという。「銀行とは違うカルチャーに変えていく」と、デジタルイノベーション推進部の川崎悠一朗上席調査役は説明する。MUFGは米国シリコンバレーに4人のメンバーを常駐させており、同メンバーもイノベーション・ラボを兼務させる。将来的には、アジアにも拠点開設を検討するという。

 MUFGによると、世界のFinTechをリードする欧米金融機関では、新規事業開発を専門とする組織を設けているところが少なくない。米ウェルズ・ファーゴはリテール領域に特化した「Wells Fargo Lab」、スペインBBVAは、銀行と独立した組織として「BBVA Innovation Center」を設置している。MUFGはイノベーション・ラボの活動を推進して、「主要外銀と伍する体制」(MUFG)を目指す。

■変更履歴
記事公開時にデジタルイノベーション推進室としていたのは正しくは「デジタルイノベーション推進部」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2016/01/12 14:00]