写真●IDC Japanの市村仁ITスペンディングリサーチアナリスト
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 「大手金融機関とFinTech企業との協業は今後加速するだろう。現時点で連携に積極的なメガバンクだけでなく、これからは地方銀行やカード会社、証券会社なども動き出すはずだ。しかし、三つの課題が存在する」。IDC Japanの市村仁ITスペンディングリサーチアナリスト(写真)は2016年1月7日、記者発表会の場でこう話した。

 市村アナリストの言う、三つの課題とは、「法制度の制約」「企業文化の差異」「『FinTech』活用の展望が不明確」である。

 一つめの法制度の制約については「各種の規制緩和は進んでいるものの、ビットコインの扱いやアウトソーシング委託契約など未整備の問題が残っており、これらが問題になる」と話した。二つめの指摘は企業文化。「セキュリティの考え方やスピード感が異なり、それが問題になりがち」と言う。三つめとして「金融機関によっては、そもそもFinTechと連携して何をしたいかが、具体的ではない」と述べた。

 これらの課題の解決に向けて、「金融機関はFinTech企業との連携を一つの手段と位置付けて、全社のデジタル戦略を立案するべき。その際、ITベンダーやITコンサルタントが中長期的な視点で両者の橋渡しをすることが求められる」と市村アナリストは言う。

 国内FinTechの動向と併せて、2019年までの国内金融IT市場予測も発表した。2016年の国内金融IT市場の規模は2兆407億円。前年の大型案件の反動で前年比成長率は0.6%増にとどまった。その中でも比較的IT支出に積極的なセグメントは、メガバンク(前年比成長率3.0%増の約3300億円)、生命保険(同2.5%増の約3200億円)、カード(同2.3%増の約970億円)など。システム別には、「チャネル系システム」や「顧客管理システム」の伸び率が比較的高いという。