写真●青い森クラウドベースが2016年1月に操業を始める「寒冷地型エクストリームデータセンター」の模型
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 勇壮な武者の図柄入りリンゴジュース缶が置かれている透明ケース。その下には、広々とした敷地に平屋の建物が並ぶ模型──。2015年10月2日まで東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2015」の会場内、青い森クラウドベースの展示ブースの光景だ(写真)。

 この模型は、青い森クラウドベースが青森県上北郡六ヶ所村に建設中で、2016年1月に操業予定のデータセンターだ。同社はこの施設を「寒冷地型エクストリームデータセンター」と名付けている。青い森クラウドベースの宮本啓志専務取締役は「“寒冷地型”と“エクストリーム”それぞれに強い意味を持たせて命名している」と明かす。

 寒冷地型とは、1年を通して8割超が気温20度以下という青森の冷涼な外気を、データセンター内の冷房に生かすというもの。外気をデータセンターの冷却に使う外気冷却はこれまでもあった方式だが、ここに一工夫を凝らす。従来の外気冷却は、センター外の空気をそのまま取り込むが、これでは湿度が高くなることがあり、除湿のために余分な電力が必要だった。

 青い森クラウドベースの新施設では、外気を直接取り入れる代わりに熱交換器に通すことで、センター内の空気の温度を下げる方式を採用。湿気がセンター内に取り込まれるのを防いでいる。

 さらに冬期の降雪を固めた雪氷の山をデータセンターの敷地内に作り、夏期の冷却に生かす。2500立方メートルもの雪氷は夏でも溶けないように工夫。雪氷の山を築く地中に熱交換用の管を張り巡らし、その冷気をデータセンターの冷房に役立てる。

 「2014年から翌年にかけて冬季に雪氷を作り検証したところ、気温を10度下げる効果を得た。IT機器にかける電力量を1としたときに、データセンター全体で消費する電力を表したPUEは1.2と、データセンターの平均といわれる1.9を大幅に下回る効率性を実現できる」と、宮本専務は説明する。

 一方の“エクストリーム”には、サーバーやストレージを高密度に集積できる意味を込める。例えば、1ラック当たりの電源供給量を増やし、電力の制約をなくす。現行では1ラック当たり2kVAどまりのところを、6~20kVAを供給できるようにする。さらに平屋に組み込む免震床には、従来の2倍以上に相当する1ラック当たり2トンの耐荷重を持たせている。これにより、ラックの集積度を高められるので、ユーザー企業は少ないラック数で運用できるようになる。

 2016年1月は、80ラックを収容できる建物2棟からスタートする。センターの敷地に余裕を持たせているので、需要に応じて建て増ししていく。「現在、データセンターで多いのは、東京や大阪などに集中しているビル型で増床が難しい。しかし、このデータセンターでは容易にできる。新しい建物も半年で完成できる」と、宮本専務は話す。

 また新しい建物の建設時には、電源や空調などで最新技術を取り入れて、消費電力の効率化などを図っていく予定だ。「最近では、気温が40度でも稼働できるサーバーなども登場している。そうしたサーバーを使って冷却機能を最小限に抑えコストを下げたデータセンターも実現できるだろう」と宮本専務は見通しを語る。