写真●ITpro EXPO 2015で講演するRichard Soley氏(撮影:新関 雅士)
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 「インダストリアルインターネットを1社で制覇するのはあり得ない。大事なのはコラボレーションだ」。

 IIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)エクゼクテイブ ディレクター/OMG チーフ・エクゼクテイブ・オフィサー(CEO)のRichard Soley氏は、2015年9月30日から10月2日まで東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2015」の基調講演「IoTがもたらす社会変革の波とIIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)&日本企業が果たすべき役割」でこう語った(写真)。

 講演の冒頭でSoley氏は、「インターネットですべてが変わったと思いますか?」と問いかけ、エンターテインメントや情報など変わったと感じるはずの市場がある一方で、1980年同氏が携わっていたPLC(Programmable Logic Controller)、あるいは1950年に多くが設計された送電網の設計、ジェットエンジンに蓄積されたデータの取得などを挙げて「変わっていない」と指摘した。

 同氏は、インダストリアルインターネット(人のつながりを機械へのつながりに変えたネット革命によってつながったシステムを、産業分野に適用したもの)は、産業革命とネット革命で実現した生産性アップをさらに進めるだろうとコメント。各種の調査資料を引用しながら、この分野にあるチャンスの大きさを示した。

 Soley氏がエクゼクテイブ ディレクターをつとめるIICは、様々な企業が一堂に会して産業システム向けのネット活用の課題を解消していく。そのミッションの中でキーワードになるのは「変革的なビジネスの結果と成果」。そうした新しいビジネスのアイデアを探すうえで重要なのは、テストベッドを構築することだという。当初は5社がテストベッドを作ろうという話になり、「今ころは10カ国の80社くらいになるかなと思っていたが、これは間違いだった。27カ国の215社が参加して、テストベッドを構築している」(同氏)。まず、技術をどうユーザー組織に適用できるかを見るユースケースを構築。規格を見て相互運用性を確保し異なるシステム間の断片化を避け、セキュリティをテストし、これらに基づきテストベッドを作ったという。同氏は「Wi-Fiを使い三角測量をして、工場のすべての人、部品、半製品、工具の場所を決めて効率化するもの」など、いくつかのテストベッドを紹介した。

 こうしたテーマでは標準化の話題がよく出てくる。Soley氏は「標準を開発するのはシステムを理解した後。だからテストベッドを構築している。ただ標準を作ることも重要」と話す。テストベッドの成果・結果は2つの標準化機関に渡すといい、IICは15の標準化団体とのつながりがあるという。

 Soley氏は将来の姿にも触れ「車両は我々よりもうまく独自に運転して、人が人を避けるよりもうまく人を避けるようになるだろう。道路から事故や迂回についての情報が流れてくるようになるだろう」などと説明。そして「何より重要なのは、インダストリアルインターネットは1社で制覇することがあり得ないとうこと。各社とのコラボレーションが鍵となり、現実のものとなる」と話し、講演を締めくくった。